つくばエクスプレス「基地内脱線事故」で生じる安全への懸念

気になる乗車率、遅延…大丈夫か
田中 圭太郎 プロフィール

安全装置の故障と人為的なミスが重なる?

脱線事故はなぜ起きたのか。つくばエクスプレスを運営する首都圏新都市鉄道によると、事故が起きた車両は4年に1度の定期検査中で、車両の重要な部分全般に異常がないかを調べていた最中だったという。

問題が起きたのは過走防護装置と呼ばれる、いわゆる安全装置。基地内や終点など線路の先端部分で、停止位置に指定された場所を越えたらブレーキが自動的にかかる機能だ。時速25キロメートル以下で走行していたが、停止位置を過ぎてもブレーキがかからずに事故が起きた。

過走防護装置のトラブルは、つくばエクスプレスでは2005年8月の開業以来、初めてのことだという。事故が起きた車両は2012年10月に増備されたもので、まだ導入から6年あまり。肝心の事故原因について首都圏新都市鉄道は「現時点では不明」で、「調査中」としか話していない。

 

しかし、脱線事故にまで至ったことには、複数の社員からも疑問の声があがっている。本来の停止位置を通り過ぎた時点で、手動で非常ブレーキをかければ、19.7メートルで止まるという。車両1台が約20メートルなので、車止めや支柱に衝突する前に停止することは可能だと指摘する。

「見た目での判断ですが、安全装置を過信して非常ブレーキをかける体制を取っていなかったのか、もしくはよそ見でもしていて停止位置に気づかなかったのではないかと思われます」(前出の社員)

つまり、安全装置の原因不明の故障と、人為的なミスが重なった上での事故の可能性があると、社員の多くも感じているのだ。「あくまで推測。詳しい説明がなされればいいのですが……」とこの社員は嘆息したうえで、こう続ける。

「もしも非常ブレーキをかけたにもかかわらず停止しなかったのであれば、より事態は深刻になると思います」