そんな中、性に関することでも当時ひとつだけすんなり入ってきたことがある。それは、女性労働力率のM字カーブや女性が参政権を得るまでの歴史など、「女性の権利」の文脈で教えられた緊急避妊薬(通称アフターピル)の存在だ。その記憶は知識として私に残り、これまで私や友人たちを救ってきた。後述するが、今思えばこの対照的な記憶は、私が避妊具や性教育についても「声を上げていい」と思えたひとつの分かれ道を示している気がする。

そして私は「#なんでないの」と声を上げた

スウェーデン留学から帰国後、私は暫くの間スウェーデン帰りたいあまり意気消沈していた。そんな中、やはり頭を掻き回し続けるのは、現地で知った様々な避妊法や、薬局で販売されていた緊急避妊薬のことだった。

スウェーデン留学中の頃。留学して始めて、女性が選択できる避妊法がたくさんあることを知った 写真提供/福田和子

スウェーデンではあまりに当然に権利として与えられていた知識、選択肢が、日本では与えられない。どんなに「自分を大切に」したくてもその術がない。あまりにショックな現実だった。

その後、私はスウェーデン以外の国の状況についても調査を行った。すると、例えば日本で未認可の避妊インプラントや避妊シール、避妊リングなどについて、日本語で検索をしても、信頼に足る情報など殆ど出てこない。一方、英語で検索すれば「現代的避妊法」として信頼に足るソースは山のようにヒットする。ネットでここまで繋がれる時代に、違和感が募るのだ。

それは緊急避妊薬でも同じだった。スウェーデンのみならず、他の多くの国でも薬局販売されていたり、医療機関で無料配布されている。先進国途上国に限らず、1錠に15000円もかかる国など、日本以外にどこにも見当たらない。スウェーデンでは当然の権利として快く提供された女性の健康を守る必需品の数々が、日本ではポッカリ、存在しないことになっていた。私たちには「なんでないの?」と心から思った。

「なにかをしなければいけない」、そんな思いで「#なんでないのプロジェクト」を始めた。