つまり、中国の軍用ドローンは、中国軍が自ら使用せずとも、中東で着実に「実戦経験を積んでいる」のである。
膨大な予算、強力な技術・産業基盤に実戦経験が加われば、何が化合物として生成されるかは火を見るよりも明らかだ。このままでは、中国がこの新しい戦闘空間を支配しかねない。
これは中国の脅威に常日頃さらされている日本にとっては、一大事である。防衛省・自衛隊もまた、この新しい戦闘空間における優越性を確保するために、より一層の努力が求められる。
例えば、中国の軍需企業ノリンコ(中国兵器工業集団=Norinco)は高性能の軍事用新型ドローンMR-150を公開している。探索・照準レーダーと偵察システムを備え、武装は誘導ミサイル・破片弾頭・パラシュート爆弾・ロケット弾を発射可能で、30kmの航続距離と1時間の飛行時間を誇る。
装甲車両・非装甲車両、砲兵システム、レーダー、各種軍事及び貯蔵施設、通信施設、航空機シェルター、兵站線など、様々な対象に攻撃が可能。「15機あれば、75台もの戦車や装甲車を撃破可能」という売り文句だ(「新浪视频」に投稿された展示会の動画はこちら)。
中国の民生ドローンの進化は、すでにここまで来ている。もし石垣島や与那国島に寄港している中国の民間船舶から、数十〜数百機のMR-150ドローンが15機編成で飛来した場合、対ドローン用装備を保有しない自衛隊が対処に苦心することは明白だ。
今こそ、航空優勢ならぬInDAG優勢を獲得するための、日本版「巻き返し戦略」と実行が急務だ。