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騙されるな…金融機関が「NISA」より「保険」をすすめるウラ事情

日本人に資産運用が広がらないワケ
金融庁の旗振りで「貯蓄から資産運用へ」との掛け声がかけられる中、日本ではいまだ資産運用が広く浸透しない現実がある。日本人が「預金好き」だからという説明がなされることは多いが、そんな単純は話ではない。預金大国ニッポンの背景にある日本特有のある事情とは――。『はじめての人のための3000円投資生活』著者でFPの横山光昭さんと、『はじめての人が投資信託で成功する たった一つの方法』著者でセゾン投信代表取締役社長の中野晴啓さんが、「金融業界の真実」を本音で語り合った。

文・構成/平原悟

 

「つみたてNISA」の真実

横山 金融庁の調査では「つみたてNISA」が始まる前と後で、投資信託の保有割合が1%程度しか変わっていないそうです。もっと普及するのかと思ったのですが?

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中野 つみたてNISAは、分散投信を長期で続けることで20年後に大きな資産を作るための制度です。金融庁の森前長官の肝いりで生まれた制度で、以前お会いした際「1000兆円の個人資産の内300兆円を投資に向けさせたい」と、熱く語っていました。

仮に300兆円が年4%で運用されれば、12兆円の新たな富が生まれる。これは日本のGDPの2%にもなる。それが投資をした生活者のものになるのに、なぜ利用しないのか理解に苦しみますよ。

横山 金融機関もそれなりに営業していると聞きますが。

中野 たしかに口座は獲得していますが、そこまで。1000円から始められるので1000円だけでいいからと営業していると聞きました。なにを買えばいいの? とお客さまに訊かれると、何も考えずに「日経平均と連動するインデックスファンドが安心だと思います」で終わり。何が安心なのか?

横山 金融庁に対して「やっています」というアリバイ作り感は否定できませんね。むしろ彼らが本気で売っているのは保険ですね。

中野 特に地銀は保険の販売に力を入れています。販売時に得られる手数料が投信などに比べて圧倒的にいいからです。商品によっては投信の2倍程度のものもある。でも、外貨建ての変額年金保険など、金融知識が無い個人に勧めるのはアウトでしょう。

横山 金利、保険で言えば予定利率や積立利率ですが、これがいい時代なら保険で貯蓄も選択肢になる。実際、昔は私も個人年金保険や一部の終身保険を勧めた時期がありました。でも、今は全く状況が違います。

外貨建て保険の中には積立利率が2~3%のものもありますが、払った保険料の内、保障部分や保険会社の経費にあたる付加保険料の部分には適用されません。結果、積立利率は1%程度がせいぜい。そこに為替リスクがかかることを考えれば決して有利とは言えません。

中野 そこまで丁寧に説明すれば、だれも保険で貯蓄しようとは考えないですね。みんな横山さんに相談するべきだ。

横山 うれしいですね。保険を全否定はしませんが、保障は保障、貯蓄は貯蓄と目的に応じて最適な方法を考えるべきでしょうね。