独創的で自由なアートは、どのような環境で生まれるのだろう? そんな疑問を抱えて鹿児島へ向かったのは、ファッションデザイナーのスズキタカユキさん。世界からも注目される「しょうぶ学園」で見たエネルギー溢れる無垢な芸術表現は、創作の原点を見つめ直すきっかけをくれました。

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ああああああああ

芸術にアウトサイドはない。
自分の創作にヒントをもらう旅。

「僕はお酒が飲めないんですが、アルコールなしでも沁みる街ですね。『しょうぶ学園』の活動もクラフトも郷土料理も桜島も、すべてが五感を刺激する」とスズキさん。夜は更け、沁みる街にウーロン茶で乾杯しながら改めて旅を振り返ると、福森さんが洋画家の野見山暁治さんと対談した時の話が心に残るという。
 

福森さんいわく「野見山さんはこう切り出したんです。『人は果たして無人島で絵を描くだろうか?』と。きっと知的障がいを抱えている人たちの多くは、そこに山があるから登るというように、道具さえあれば絵を描く。第三者に見せたいという願望ではなく、純粋に描きたいという根源的な欲求なので、創作活動をし続けると思います。

その姿は美しい。ただ、アウトサイダーだから優れているわけではない。少数派も多数派もなく、芸術活動は対等であり自由であるべき。フラットな目を持っていることが一番大事なんだと思います」。
 

寡黙に刺繍する前野勉さん。

僕はこの話が特に印象的でした、とスズキさん。創作には常に誰かの評価やものさしがつきまとう。だが、それは本質なのかというと違う。「この旅を通して、自分のクリエイションに大きなヒントをもらった気がします」。考える前に感じること。そんなシンプルなことに「しょうぶ学園」は気づかせてくれた。

しょうぶ学園
鹿児島県鹿児島市吉町町5066
☎099-243-6639

PROFILE

スズキタカユキ Takayuki Suzuki
1975年愛知県生まれ。東京造形大学在学中に、独学で服作りを始め、演劇や舞台の衣装を手掛けるように。2002年には自身の名を冠した〈suzuki takayuki〉をスタート。現在は北海道根室市と東京の2拠点生活をしている。趣味は温泉巡り。

 
●情報は、2018年12月現在のものです。
Photo:Norio Kidera Text:Kyosuke Nitta