自分が取り入れるものは、すべて自分という形になる

3〜4年前から、毎日続けられる軽い運動を日課にしている。30分歩いて、最低限の筋トレと腹筋。過激なジムのハードな運動は苦手。さらに今年から週2回のフラメンコが加わった。

「○○しなきゃ、ってストイックに制限すると、必ず反動が来る。私は暮らしから『ダメ』を極力減らして、逆に何が『欲しい』かを真剣に考える。体と心が喜ぶ声に、本気で耳を傾けますよ(笑)。本当に食べたいものは? どのくらい食べたい? いつ食べたい? って。ポテトチップスでも何でも、体が欲する時は喜んで食べる。欲しない時は食べない。心身の声を聞いていると、細胞が勝手にベストな状態をキープしてくれるようになる。

身につける服や髪だって同じ。オーガニックコットンや自然素材は、本当に体が喜んでいる実感がある。髪も自然の風をバサバサと感じられるスタイルでいると気持ちいい。衣食住すべて、自分をとりまくものは、心と体が『心地いい』という指標で選び取ること。最高の環境を自分自身で作り出して、疲れをちゃんと癒やして、次なる挑戦への英気を養わないといけないでしょ(笑)」

食事をするときも、写真を撮られるときも、瞬間瞬間のエネルギーを大切にしている。料理は、「10分以内でできる勢いのある料理が好き」で、「ちまちま飾りつけして、勢いを殺している料理は許せない」とバッサリ。

「料理は、素材そのものを生かした調理で、エネルギーを瞬時に凝縮した瞬間にいただくのが最高。料理は勢いが大事。たまに作るエネルギーいっぱいの超簡単料理が、アヒージョ。ぐつぐつ煮えたぎる大きな土鍋をテーブルに出すだけでイベント感満載。エネルギーをいただくから元気になれる」

「自分が取り入れるものは、すべて自分という形になる」と山口さんは言う。食べ物も、飲み物も、運動も、サプリも、出会った感動も。五感を通して取り入れたものが、今の彼女を作っている。

「自分の中に取り込むものは、シビアな目で選ばせていただきます(笑)」
 

 
話を聞いて判明したのは、お風呂が大好きで自宅に銭湯並みの強力なジェットバスを付けたこと。家の照明にこだわって、キャンドルライトで癒やされていると、唐沢さんが全部の電気を煌煌(こうこう)とつけて雰囲気を台無しにすること。そして若い頃、ちょっと反省していることは、日に焼き過ぎたこと。近所の公園に水着で寝転んで、真っ黒に焼いていたと言う。

それから、撮影の時のこだわりが〝風〞であること。

「学生の頃、陸上部だったのですが、顔面に風を受けて前に進むことが大好きで……。風に吹かれていると、自分の精神状態もハッピーになれる。風と共に私の人生はあるようなものです(笑)」

すべての撮影とインタビューを終えると、彼女は、満面の笑顔で、そこにいたスタッフ全員とハグをした。風のように爽やかで軽やかな余韻が残った。

PROFILE

山口智子 Tomoko Yamaguchi
1964年10月20日生まれ。「中学生の時は、隣町に電車で映画を観に行くだけで補導された」ほど、カルチャーとは縁遠いのんびりとした田舎で育つ。短大進学のために上京し、ViViモデルを経て、’88年NHK連続テレビ小説『純ちゃんの応援歌』で女優デビュー。奇しくも、「家業を継ぎたくなくて逃げ道を探していた」その家業である、旅館の女将役を演じた。

映画は、『居酒屋ゆうれい』(’94年)『スワロウテイル』(’96年)、ドラマは『スウィート・ホーム』(’94年)『王様のレストラン』(’95年)などに出演。20代後半から30代にかけて、〝自然体〞かつ〝等身大〞かつ〝男前〞な大人の女性として、同性からの圧倒的な支持を得る。’95年、唐沢寿明と結婚。

2000年以降は、旅の映像シリーズに携わったり、もの作りを極める職人の元を訪ね文章に収めるなど、自ら出演する以外の方法でも、〝もの作り〞と関わるように。2011年より、音楽を入り口に世界を巡る映像シリーズ『LISTEN.』がBS朝日でオンエア http://www.the-listen-project.com/jp/)。未来に伝えたい美しい「今」を収めた「タイムカプセル」だという。毎年数エピソード放送。

●情報は、FRaU 2016年3月号発売時点のものです。
撮影/伊藤彰紀(aosora) スタイリスト/清水けい子(SIGNO) ヘアメイク/ MICHIRU(3rd) 取材・文/菊地陽子