子供を産んで育てる人生ではない、別の人生を望んでいました。今でも、一片の後悔もないです

話題が結婚に及んだ時、山口さんはさらりと「私は、子供のいる人生じゃない人生がいい」と語っていた。実際、二人の間に子供はないけれど、それは最初から決めていたことなのだろうか。子供というデリケートな話題に言及した時も、山口さんの口調はサバサバしていた。

「私はずっと、子供を産んで育てる人生ではない、別の人生を望んでいました。今でも、一片の後悔もないです。人それぞれ、いろんな選択があっていいはず。もちろん、子供を持って初めてわかる感動もあると思います。実際に産んでみないとわからないことだと思うけれど。でも私は、自分の選択に微塵の後悔もないです。夫としっかり向き合って、二人の関係を築いていく人生は、本当に幸せです」

 
仕事だけではない。結婚も、趣味も、出産についても。全ての決断に、自分なりのスタイルがある。流されるのではなく、自分の意思で選択する。そして、やると決めたからにはとことん楽しむ。それも、軽々とやってのけるのではなく、もがき苦しんでいる部分もちゃんとさらけ出してくれる。文章にすると当たり前のことのようだが、そうやって〝一瞬一瞬を生き切る〞ことは、誰にでもできるわけではない。

奇しくも、山口さん自身がフラメンコの魅力を、「変化していく中での形。その形の、一期一会のハッとするカッコよさにある」と話していたが、山口さんの美しさが宿っているのは、何と言ってもその〝心の形〞だ。目には見えないし、常に変容していくけれど、じっくり手間暇かけて作り上げた、オリジナルの心の形――。

丸顔コンプレックスだった私に、唐沢さんは「丸顔じゃなきゃダメ」って言ってくれた

田舎で育ったこと以外にも、彼女にコンプレックスはたくさんある。モデルになりたての頃は、モデルの華奢な体型からはほど遠い、たくましい骨格に悩まされ、女優になりたての頃は、自分の丸顔がどうしても好きになれなかった。

「丸顔コンプレックスだった私に、唐沢さんは『丸顔じゃなきゃダメ』って言ってくれた。捨てる神あれば拾う神ありですね(笑)。たとえ世の風潮の型にはまらなくても、人と違うものを誇っていいんだと思えるようになりました。

また、自分の夢を考えないようにして育った反動なのか、自分の好きだと思えることを、仕事として選び取っている人への憧れがありました。唐沢さんはまさに、自分の夢に邁進する人。でも彼と出会った頃は、あまりに自分と違う感覚に戸惑ったこともあります。それは、常に周りの社会と戦闘態勢にあること。私は全てを平和的に受け入れて肯定していくタイプですが、彼はいつも世間や自分に対して、戦いを挑みながら進んでいく。

あと他に? 彼の何に惹かれたか? ……なんだかんだ言って、私は踊れる人が大好きなので、若い頃ディスコで磨いたという、唐沢さんのソウルフルなダンス!(笑)」

憧れられる大人になることは、大人の責任だと思う

コート¥204000、キャミソールドレス¥48000、パンツ¥140000、サンダル¥100000/ドリス ヴァン ノッテン

唐沢さんが〝常に戦いを挑んでいくタイプ〞であることに影響されたのだろうか。協調派の山口さんも、〝美しく老いる〞ことを「人間として、一生賭けた勝負」と表現した。

「醜く老いたくない。やっぱり、知恵や話術を磨いて世の中の役に立って、大人として若い人から憧れられるバアさんになりたい(笑)。年のとり方って、人生における最大の課題だと思います。老いに対しては、喜んで挑んでいきたいですね。まだまだ見なきゃいけないこと、学ばなきゃいけないことが山積みで、人生楽しくてしょうがない。

人間、常にちゃんと勝負していれば、老化なんてしないと思う。憧れられる大人になることは、大人の責任。カッコいい大人が増えないと、若者がついてこないでしょ? でも、美しく老いるためには、見えない努力が必要。心身の健康を自分で律して、チャレンジ精神や向上心を持ち続けること。女性としての可愛さやお洒落も忘れず、美しいオーラを放てる人間を目指したいです」