先のことは考えない。あれもこれもと欲張らない。焦らず、ただ、今を生きる――。「最近、言葉を大切にしたいと思うようになった」と話す彼女が発する言葉は、ごくごくシンプルだ。それは諦観でも達観でもなく、いろんな失敗を繰り返して、迷って、悩んで、苦しんで、傷ついて、でもそこまで深刻にはならずに、ちゃんといくつもの出来事から学んで、辿り着いた “30歳の境地” なのだろう。

「若さに捉われることは、あんまりしたくないですね。若さを保ちすぎると、50、60の役はできないから。老いるということは、私にとって怖いことではないです。むしろ、60になって、子供みたいな容姿でいたら、逆に恥ずかしくなるんじゃないかなって思う。その年齢にはその年齢なりの楽しみ、魅力があるはず。ちゃんと歳相応に生きていきたいなと思います。

さっき、20代の頃は未来が見えない仕事に関して、すこし不安になったこともあるみたいな話をしましたが、この仕事の一番の魅力は年齢制限のない職業だということ。10年先のことはわからないけど、何十年か先、おばあさんになってもできる仕事なんだな、ってふと思ったりすると、そういうときは、ちょっとだけ心強い(笑)」

自分の年齢との付き合い方ははっきりしているけれど、彼女の場合、「それが正解」という言い方は、決してしない。あくまで「私はそう考える」というだけだ。世の中にはいろんな考え方があっていい。だから、アンチエイジングに精を出す人も、素敵だと思っている。

「もちろん、女優というのは夢を売る仕事でもあるから、どこかファンタジックな部分を見せていくのも必要だし、そこに向かって努力するのも素敵なことだとは思います。だけど、私の場合、これからも自分の価値観でやっていくことしかできないと思うんです。そこに関しては、あがけない(笑)。

私は、年齢を重ねた、いわゆる “おばさん” と呼ばれる世代の人たちと友達になるのが、昔から大好きなんですよ。自分よりたくさんの知識があって、ユーモアがあって、強くて、たくましくて、カッコよくて」