Photo by iStock

こんな名の残り方は嫌だ…「ボイコット」の語源の意外な事実

身から出たサビではあるが

もともとは人の名前

2~3ヵ月に一度はテレビや新聞で大きく報じられる、さまざまな「ボイコット」。最近でも、中国通信機器大手ファーウェイの幹部が米当局の意向で拘束されて、一部の中国企業ではアップル製品の不買活動を行っていることが話題となった。

西側諸国が足並みをそろえて参加拒否を表明した'80年のモスクワオリンピックなど、ボイコットは政治状況を背景として行われることも多い。

 

もちろん、日本でもたびたびボイコットは起こっている。'70年代の森永製品不買運動のような大々的なものを端緒に、教師に不満を抱いた学生が集団で授業を休んだりと、いまでは小規模な抗議活動としても行われている。

Photo by gettyimages

正確な意味を辞典で引いてみると、「組織的・集団的に特定の商品を買わず、取引を断絶すること。不買同盟。非買同盟」(広辞苑第7版)とある。実はこの言葉、もともとはボイコットを「された」人の名前だったのをご存じだろうか。

彼の名は、チャールズ・ボイコット大尉(1832~1897)。アイルランドで、土地管理人として雇われていたイギリス人だ。

ボイコット大尉は農民に法外な借地代を支払わせていた。1880年、農民たちはジャガイモの不作により収入が激減したため、大尉に借地代を下げるように要求するも、彼はこれを拒否。その上、土地まで取り上げようとしたのだ。

この行動に農民たちは激怒、周囲の人々を巻き込んで、大尉との関わりを一切絶つという抗議行動に出たという。

Caricature of Charles Cunningham Boycott (1832-1897). Caption read "Boycott".(photo by public domain work of art)

すると、屋敷から召し使いが消え、郵便物は届かず、レストランでは注文も取ってもらえない。それどころか、大尉の畑で取れた農作物は誰も買わない事態にまで発展した。

最終的に彼は、飢餓状態に陥ってしまい、逃げるように母国イギリスへと帰ってしまう。

この成功体験が、世界中に広がったというわけだ。身から出たサビとはいえ、ネガティブな意味で後世にまで名が残ってしまうとは、少し気の毒な気もする。(水)

人名が名詞になったケース
●カーディガン
クリミア戦争で活躍した英国軍人カーディガン伯爵が考案した
●フーリガン
ならず者のアイルランド人の名に由来しているという説がある
●ブルマ
女性解放運動家のアメリア・ブルーマー女史が世間に広めたとされる
●リンチ
私的裁判権を行使して残酷な刑罰を加えた、悪名高い治安判事の名前
●ロールス・ロイス
ロールスとロイスという、2人の創業者の名前をつなぎあわせた

『週刊現代』2019年3月23日号より