アベノミクス、民主党、小泉改革…経済政策の効果を数字で検証してみた

どの経済政策が最も効果的だったか
加谷 珪一 プロフィール

消費が伸びないと国民は豊かさを実感できない

棒グラフの内訳は成長率の寄与度、つまりGDPのどの項目が成長に貢献したのかを示しているが、安倍政権では消費の寄与度がもっとも低く、一方で設備投資の比率が高い。つまりたくさん設備投資をしているのに、これが成長と消費拡大に結びついていないことが分かる。

世の中には、失業率、賃金、消費など様々な経済指標があるが、多くの国民がもっとも豊かさを実感するのは消費拡大である。アベノミクスでは消費の伸びが鈍いので、一部の国民から大きな不満の声が出るのは、ある意味で当然の結果といってよい。

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安倍政権では失業率が大幅に低下しているが、これは人手不足が原因であり、好景気によるものではない。また失業率というのは、ある水準以下になると国民は直接的にそのメリットを感じにくくなるという特長がある。

では民主党政権時代が立派だったのかというとそうでもない。リーマンショックの反動で設備投資が大きく伸びているが、それと比較すると消費の伸びはそれほどでもない。東日本大震災の影響もあるが、やはり消費は停滞していたと判断してよいだろう。

橋本・小渕内閣では設備投資のマイナスが大きく足を引っ張った。政府債務1000兆円の原因となった大型公共事業を連発することで何とか持ちこたえた様子がうかがえる。この期間は長期金利の低下が一段落していたので、巨額の国債発行が民間の設備投資を抑制する、いわゆるクラウディング・アウトが発生したと見なせるかもしれない(ユーモアのセンスがあった小渕元首相は自嘲ぎみに自らを「日本一の借金王」と呼んでいた)。

結局のところ、アベノミクスでも民主党でも、そして小渕政権でも肝心の消費は不活発だったということになる。

これに対して小泉政権の時代は数字のバランスがよい。輸出が増え、消費もそれなりに拡大し、政府支出は逆に抑制されていた。これだけ見ると構造改革は効果的な政策だったように思えるが、本当にそうだろうか。

 

経済政策について罵り合うのはもうやめよう

小泉時代には輸出が増え、これに伴って国内の設備投資が増加、これが労働者の賃金を増やして消費を拡大させるという、戦後日本の典型的な成長パターンを描いた。

しかしながら、輸出が大きく伸びたのは、構造改革によって日本企業の体質が変わったからではない。構造改革は途中で頓挫しており、低賃金な非正規社員を増やしただけというのが実態である。小泉氏が当初、思い描いていた産業構造のシフトは発生しなかったと考えるべきだろう。輸出が増加したのは、円安の進行に加えリーマンショック前の米国バブル消費という、とんでもない神風が吹いた結果である。

当時の日本企業は今ほど国際競争力が低下しておらず、円安と輸出の拡大は素直に消費拡大に結びついた。だが、米国のバブル経済という神風で景気は良くなったものの、足元では日本企業の競争力低下が進んでおり、輸出から現地生産への転換が進み始めていた。