海外でも抗議に遭い…福島の水産物「風評被害」の現実

漁業関係者はため息をつく
松岡 久蔵 プロフィール

ようやく輸出再開へ?

農林水産省によると、2018年11月19日時点で、福島県の水産物に対し、中国、台湾、シンガポール、韓国などが輸入停止措置をとっている。福島県の内堀雅雄知事はアジアでの県産食品の信頼回復の足がかりとするため、今年1月24日に香港を訪れ、トップセールスを行った。

原発事故後、香港では野菜など同県産品のみが輸入を停止されており、水産物についても輸入する際に日本政府が発行する検査証明書が求められる。

 

震災前まで、香港は福島県産の農林水産物の輸出先として8割以上を占めていたため、香港での規制撤廃は喫緊の課題だ。内堀知事が滞在中に香港の高官を訪問した際には、「昨年規制緩和した茨城、栃木、群馬、千葉の回復状況をみた上で判断したい」という旨の返答が返ってきたという。

農水省幹部は「中国本土への輸出規制が緩和されるのに先立って、香港への規制が緩和されるのが通例ですから、香港で輸出規制が撤廃されれば、中国本土に輸出ができる日も近い」と期待する。

「放射能災害」という、人類史上まれな事態に襲われた福島県。とりわけ原発から汚染水が福島県沖に流出する様子は、国内だけでなく海外でもテレビなどで大きく取り上げられ、海外での「風評被害」を根深いものにした。

「風評被害」の難しさは、いくら生産者や販売元が科学的に安全性を強調しても、消費者の側が感情面も含めて納得しないかぎり、「風評」ではなくリアルな被害をもたらしてしまうことだ。その払拭には、まだ時間が必要となりそうだ。