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1万円払って3000円が保険会社の経費に消える保険って、どうよ?

サヨナラ保険③

保険料負担の内訳は「ブラックボックス」

数年前、ある媒体の記者から、「日帰り入院でも、入院5日分の給付金が支払われる医療保険なんて、消費者をバカにしていますよね」と言われたことがあります。

たしかに、日額5000円だと給付額は2万5000円、日額1万円でも5万円です。その金額をはるかに超える保険料を払い続けることになるのに、消費者は「日帰りでも5日分もらえる!」と直感で反応して飛びつくと見られているのだろう、と言うのです。

筆者も同感です。少額のお金を得るために保険を利用するのは本末転倒だからです。民間の保険では「保険料負担>受給」が大原則です。

人件費・広告宣伝費などの諸経費を使ったあと、さらに収益が残らなければ保険会社は破綻してしまいます。したがって、保険料にはその分の費用が含まれ、加入者全体の収支は必ずマイナスになるわけです。さらに保険料は、人々が入院する確率などをあらかじめ高めに見込んで設定されていることも忘れてはいけません。

いったい、保険会社にどれくらいお金が残る料金設定になっているのでしょうか。ヒントになるのは、保険会社の人たちが愛用している「団体保険」かもしれません。この保険は1年更新で、単年度の決算で余ったお金は「余剰金」として加入者に還付されます。例年、支払った年間保険料の30%程度には達するようです。「50%くらいに達する年度もある」と言う関係者もいます。

一方、一般個人向けに販売されている保険では、契約が長期にわたるため、団体保険のように、どの程度お金が余る保険料設定になっているのかは分かりません。

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保険数理の専門家が断言「保険会社の経費は3割」

それでも、「アクチュアリー」と呼ばれる、生命保険会社や損害保険会社で保険料の算定などを行う保険数理の専門家によると、売れ筋の医療保険の場合、保険料には、保険会社の諸経費に使われるお金が、見込みで30%ほどは含まれているそうです。

経費率3割である場合、「何かあった時に7000円を保険から調達(受給)するためには、軽く1万円を超える保険料を支払う必要がある」ということが容易に想像できます。入院日額5日分が2万5000円の場合、2万5000円のために4万円近く出費することになりかねないわけです。このように考えると、なにやら「利用を控えたいローン」のように思えてこないでしょうか。

 

2017年度末の医療保険契約件数は約3700万件(41社計)に達しています。「入院した時」「通院費が継続的に発生する時」「貯蓄を取り崩す時」など、歓迎したくない事態を想定しながらお金のことを考えると、人の判断は「より多く備えたほうがよいのではないか」という方向に変化しやすくなるのだと思います。