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プロが口を揃える最強の医療保険は「アレ」!

サヨナラ保険②
プロほど一般に売られている保険には入らない。保険料の3割が保険会社の事業経費に消えていく。人生100年時代に保障はどんどん陳腐化する……。生命保険会社が知られたくない「本当の話」をタブーなく語り、話題になっている新刊『いらない保険』から、その内容の一部を特別公開する。
◆第1回→「人生100年時代に、終身医療保険は『いいカモ』の可能性」
◆第3回→「1万円払って3000円が保険会社の経費に消える保険って、どうよ?」
◆第4回→「がん保険の先進医療特約が使える治療は『2つだけ』だった!」
◆第5回→「保険で後悔しない人の『シンプルな思考法』」

民間保険におすすめは「ない」!

複数の保険会社で、商品設計関連の仕事を続けてきた方に話を聞いたところ、定年が近い会社員の知人からよく相談されるのだといいます。

「子供は自立したし、葬儀代くらいの蓄えはあるので、万が一に備える保険は不要かもしれない。でも、入院する機会などはこれから増えるはずなので、『医療保険』はしっかり入っておきたい。おすすめがあったら教えてほしい――」

この方はいつも、「健康保険だけで大丈夫、民間の保険でおすすめなどない」と返答するのですが、すると戸惑う人、落胆する人も少なくないそうです。そのため、「僕の会社の保険だって、50代から入ると保険料が高くてたまらない。少なくとも僕は入っていないし、これから入るつもりもないよ!」と説明を続けて、納得してもらうとのことです。

 

あらためて考えさせられるのは、「加齢とともに入院する機会が増えるはずだから、医療保険で備えよう」という判断は“短絡的”だということです。気持ちは分かるのです。「体が弱ってくる老後こそ、保険に守られたい」と思うのは、自然なことでしょう。

でも、民間の保険では、保険料から保険会社の諸経費等を引いた残りのお金が給付に回るので、どこまでも「保険料負担>受給」なのです。「高齢になれば給付を受ける機会は増えるだろう。とはいえ、負担はそれ以上に増える。そうでなければ保険会社が破綻する」と冷静に考える必要性を感じます。

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高額療養費制度の効果は大きい

なにより欠かせないのが、健康保険への理解を深めることでしょう。前述の方だけでなく、民間の保険についてよく知る人は、「最強の医療保険があるとしたら(公的)健康保険」だと口を揃えます。筆者も同感です。

なぜなら健康保険には、一生涯保障が続く2つの「セーフティーネット」が用意されているからです。

第1のセーフティーネットは言うまでもなく、患者の自己負担が医療費の3割以内(70~74歳は原則2割、75歳以上は1割)で済むということです。そして、第2のセーフティーネットが「高額療養費制度」です。

仮に第1のセーフティーネットで3割の自己負担だったとしても、数十万円、時には100万円を超える医療費の支払いを強いられることもありえます。そこで、病院への1ヵ月間の支払いが一定の限度額を超えた場合には、超過分の医療費をほとんどタダ(超過分の1パーセント)にしてしまおう、というのが高額療養費制度の要点です。

限度額は個人ではなく、世帯にかかります。つまり、一家全体の医療費が限度額を超えていれば、制度の適用を受けられるのです。

標準治療なら自己負担は最大でも50万円程度まで

限度額は、所得に応じて5段階に設定されています。70歳未満の人の場合、たとえば年収約370万~約770万円なら、8万100円+(医療費−26万7000円)×1%となっています。

詳しくは拙著『いらない保険』にあたっていただきたいのですが、厚生労働省の「患者調査」(2014年)と「医療給付実態調査」(2016年)から、糖尿病、白内障、虚血性心疾患、脳梗塞になった場合、1回の入院でかかる医療費を算出してみました。

患者の自己負担で見ると、4つの病それぞれ最も高額なケースで、60~64歳の糖尿病約24万円、65~69歳の白内障約9万円、65~69歳の虚血性心疾患約26万円、65~69歳の脳梗塞約65万円でした。

リスクの高い病気でも、医療費の自己負担は最大でもこのくらいで済みます。実際、現役の医師の多くが「どんな病気でも、社会復帰や家庭復帰までの医療費は50万円で済む」と言っているのですが、医師たちの実感をデータが裏付けているといえます。