感染豚の死骸も売買…中国全土に蔓延する豚コレラの本当の憂鬱

政府は被害軽微を強調するが
北村 豊 プロフィール

どこまで続くのか

91.6万頭の豚が殺処分されたとしても、それは豚の飼育総数である4兆2817万頭から見ればわずか0.2%にしか過ぎず、その影響は大きくないように見える。

しかし、国家が発表する統計数字を信じる中国国民は少なく、実際に殺処分された豚の総数を知る術はない。

少なくとも、上述したように多くの地方政府が殺処分された豚の補償金の支払いを回避すべく逃げを打っているとの情報に接すると、殺処分された豚の頭数は91.6万頭を大きく超えている可能性は高いと想定できる。

中国政府はアフリカ豚コレラの流行を限定的として、その影響が小さいことを強調しているが、上述したように感染が確認されていない一級行政区は、新疆ウイグル自治区、チベット自治区、海南省の3つだけ、感染の全国制覇は近いものと思われる。

アフリカ豚コレラが人に感染しないことから、気にせず豚肉を食べる人も多いが、牛肉・羊肉・家禽肉の消費増が話題に上るようになってきており、豚肉消費が減少を余儀なくされつつあることは間違いのない事実である。

筆者は、アフリカ豚コレラの流行を通じて、最初に述べた「中国が必要なのは世界に向かうことではなく、人に立ち返ることだ」という言葉を実感したのだった。殺処分されて埋められた豚の死骸を掘り出して販売するという火事場泥棒同然の犯罪を行う人々には、「人に立ち返ること」で、人間としての道理をわきまえて欲しいものである。

ただし、これは中国人だけに言えることではなく、我々日本人も念頭に置くべき考え方だと思うのである。

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