「日本は移民が少ない」という誤ったイメージが定着している理由

「在留外国人300万人時代」は目前に
現代ビジネス編集部 プロフィール

日本は「移民国家」なのか?

最近になって外国人労働者や移民というテーマに関心を持つ人も増えたように思います。

そうした人に知ってほしいのは、在留外国人の増加がここ数年で起こったことではなく、平成の30年間を通じて増えつづけてきたということです。

昭和の終わりに94万人だった在留外国人は、平成の終わりにおよそ3倍近い264万人になりました。

では、日本の「移民」は国際的にはどれくらい多いと言えるのでしょうか。

ふたつの日本――「移民国家」の建前と現実』でも取り上げた、OECD「国際移住データベース」の統計によると、先進国の中で日本はフランスに次いで7番目に「国内の外国籍者」が多い国となっています(2015年時点)。

この統計によれば、日本にはスウェーデンよりも、オランダよりも、ベルギーよりも、オーストリアよりも、韓国よりも、はるかに多くの外国籍者がいるということになります。

同時に、日本は「外国籍者の割合」が相対的に小さい国だということも事実です。だからこそ、これまで「日本は移民の少ない国だ」というイメージが定着してきました。

実際にはかつてから多様なルーツを持つ人々が暮らしてきたにもかかわらず、「単一民族国家」という誤った言葉も使われ続けてきました。

しかし、すでに見たように外国籍者の実数、つまり割り算における分子は多いのです。

「外国籍者の割合」が少なくなる理由は明らかでしょう。日本は世界でも有数の人口を抱える国であり、割り算の分母がとても大きいのです。逆に、分子の数だけを見れば先進国でも有数の在留外国人が日本で暮らしているわけです。

あまり言及されませんが、これは非常に重要なポイントだと思います。

平成の間に98.4万人から263.7万人へと増加した

ちなみに、在留外国人264万人という数字は、世界の中で人口の少ない100近くの国全体の人数よりも大きく、日本の47都道府県の中で13番目に人数が多い京都府(約259万人)とほぼ同じです。そして今後すぐに京都の人口を抜き去っていくでしょう。

この現実に認識を合わせていく必要があると思います。

「移民政策ではない」という政府の建前に惑わされず、すでに在留外国人の4割以上、つまり100万人以上の外国人が永住資格を持ち、この国で定住していくという現実を直視するべきです。

政府は永住資格がある人や入国時点から永住資格を持つ外国人のみを「移民」として認識しているようですが、定義をいくら狭くしぼりこんだところで現実は何も変わりません。問題は定義でも建前でもなく現実だからです。

 

これまで一人ひとりの移民、外国人の方から話を聞く中で、働く、学ぶ、病院や役所など生活の様々な場面で、不十分なサポートしかないこと、そして時にはあからさまな差別や偏見に耐えてきたという現実を知りました。

日本語が不自由でからかわれる、見た目が違うからいじめられる、そして、つらい状況に陥ったときにも様々な社会的支援の網から孤立している——。

私自身もそうですが、この国で起きていた現実の変化を少しずつ知っていく中で、これまで日本にも数多くの「移民」がいるのだという認識を前提に政策と社会をつくってこなかったから、今こういうことが起きているのだと痛感しています。

これからさらに外国人労働者の受け入れを拡大していくのであればなおのこと、一人ひとりの外国人、移民たちが、日本人が当たり前に享受しているような最低限の暮らしを送れるよう制度や文化をつくり直していく必要があるはずです。

また、技術や機械で労働需要を代替できるというビジョンを持つのは自由ですが、それがすでに日本で働く外国人の生活を軽視することにつながってはいないかも問い直すべきでしょう。未来の話と現在の話は両方大切です。どちらか一方ではあり得ません。

政府からは現実と乖離した建前が出てくる。私たち市民も生活レベルで奇妙にシンクロした認識を持ち続けている。「移民」をめぐる議論は、日本という国家のメンバーシップの話であり、「国のかたち」と「人々の暮らし」に直結します。

私たちが生きる日本には、すでに多くの「移民」が存在する——スタート地点はその現実を多くの人が知り、共有すること。そこから、目指すべき新しい「日本」の姿が見えてくるはずです。