「日本は移民が少ない」という誤ったイメージが定着している理由

「在留外国人300万人時代」は目前に
現代ビジネス編集部 プロフィール

技能実習生はなぜ「失踪」するのか

悪名高い技能実習制度の問題を理解できるのはこの地点においてです。

つまり、特に地方の中小零細企業の人手不足を埋め合わせてきた技能実習制度において、最低賃金違反や賃金の未払いが横行する根本的な理由は企業が安い労働者を求めるからです。

この制度は日本中の企業に対してそのことを暗黙のうちに許容してきました。機械より安い労働者、日本人より安い労働者を供給してきたのです。

さらに悪いことに、技能実習生には「転職の自由」がありません。それは、日本人労働者を集められない雇い主にとってある種の命綱になっています。

しかし、技能実習生の視点から見れば、パワハラをされても、給料が約束通りに支払われなくても、公式には逃れる道がないのです。

最近、報道でもよく見聞きする「失踪」の問題はこの文脈抜きには理解できません。運悪くブラック企業に遭遇しても彼らには逃げ場がないということなのです。

〔PHOTO〕iStock

ここには、避けられない倫理的な問題があります。

社会全体として「移民」に頼ってでも維持すべき仕事とそうでない仕事との境界線をどこに引くべきか。

自由な労働市場で前者の担い手が確保できなかったとき、外国人労働者の人権を守りながらそのニーズを埋め合わせることはどうすれば可能なのか。

 

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移民をどう受け入れるかは「国のかたち」に直結しているのです。彼らの権利を犠牲にするかどうかも、もちろん「国のかたち」をそのまま表すでしょう。

だからこそ、私たちは「移民」の話をしなければいけないのです。