昭恵夫人が登場?ある「投資詐欺捜査」が1年経っても進まない事情

考えられる二つの要因
時任 兼作 プロフィール

動きが取れない…?

一方、官邸筋もこう語る。

「安倍首相や官邸を気遣う向きは、捜査権を持つゆえに政権からの独立性が確保されているはずの警察においても、いまは非常に強い。警察庁出身の内閣官房の重鎮が、警察庁の現役幹部と連携し、さながら茶坊主のように火消しや情報収集に走り回っている」

いわゆる「忖度」は、幹部人事が内閣人事局に掌握され、政権の意向が色濃く反映される官僚だけでなく、いまや警察にも蔓延しているようだ。この人物は以下のような具体例を列挙した。

 

・元TBS記者事件: 2016年6月、安倍首相をはじめ菅義偉官房長官らとも親交のあったTBSの元記者が、フリーの女性ジャーナリストに薬物を飲ませた上、レイプしたとして準強姦の容疑で逮捕状を請求された。その執行直前に、かつて菅官房長官の秘書官を務めた警察庁の中村格官房長(当時は警視庁刑事部長)が執行停止命令を下したと週刊新潮が報じ、「政権への忖度ではないか」と物議を醸した。同誌の報道では、元記者が北村滋内閣情報官に相談のメールを入れていたことも報じられている。

・マイナス金利:安倍政権の看板政策であるマイナス金利に関連して、2016年2月に開かれた国家公安員会の席上、「こうした(マイナス金利の)状況になると、利殖名目の詐欺などが起こりかねない」「いまでさえ振り込め詐欺のような金融犯罪が多発し、多くの国民被害が出ている以上、こういった観点からの警戒も必要では」などとの指摘がなされ、犯罪防止のために警察庁として広報することになったが、その直後、「アベノミクスのイメージを棄損しかねない」という理由から中止になった。

・前川事件:「加計学園問題」で安倍首相に不利な発言をした前川喜平元文部科学省次官についての情報を内閣官房が収集して、官邸に報告。2017年5月、菅官房長官はそれをもとに、前川氏が売春などの温床となっていると言われる東京・新宿の『出会い系バー』と呼ばれる飲食店に出入りしていたと記者会見で批判。また、この情報は会見以前に読売新聞にもリークされたとされる。

・東京新聞問題:記者会見で菅官房長官と熾烈な争いを繰り広げている東京新聞の女性記者についての情報収集を2017年6月以降、内閣官房が行い、それを官邸に報告している。

・田畑議員事件:2019年2月、自民党の田畑毅議員が、泥酔して意識を失った女性に対して性行為に及んだとして準強制性交等罪の容疑で告訴されたが、その直後、警察庁の中村格官房長が官邸を訪れ、状況報告などを行ったとされる。

ことほど左様、警察から政権への“忖度”は蔓延しているというのだ。

「こうなると、現場は上から頭を押さえつけられているようなもの。動きが取れないだろう」

官邸筋は、ロゼッタの捜査についてもそう語った。