世界的に考えても珍しい会社

様々な業界で「ワークスタイルの変革」が言われるこの頃、クリエイターの働き方も少しずつ変わり始めている。これは日本だけでなく世界的な現象でもある。この記事では現在進行中の興味深い動きの一端を見てみよう。

クリエイターと言うと、世間的には「自由な働き方ができる職業」というイメージがある。発想力や表現力を求められる"専門職"であるため、そういった印象が定着しているのだろう。事実ワークスタイルとして、「何時から何時まで仕事」といったルールには縛られにくい。

一方で"不自由"な側面もある。一概にクリエイターと言ってもデザインや写真、映像、その他の作家など様々な職種があり、個人差もあるためひと括りにするのは難しいが、私の知る限りこの業種の人たちは、フリーランスであれ会社員であれ長時間労働に陥りやすい。

なかなか「予定通り」にはいかないのが、創造の仕事というものだ。いいものを作ろうとすればするほど、際限なく手間暇がかかってしまう。

フリーランスの場合、「仕事を受ける・受けない」から自分でジャッジできるため、働き方の自由度はより高いが、労働環境をコントロールする組織がないため"不安定"な状況に置かれることもある。

この記事でご紹介するのは、こういった"不自由"や"不安定"を克服するひとつの試みだ。

昨年、東京にBASSDRUM(ベースドラム)という会社が設立された。この会社には現在、デジタル領域のクリエイティブをリードしてきた約10名のテクニカル・ディレクターが所属し、受注プロジェクトごとに自在にチーム編成するスタイルで仕事に取り組んでいる。

テクニカル・ディレクターだけを抱える会社というのは、世界的に考えても珍しい。組織に属しながら、他社と兼業できたりフリーランスとしても働ける、いい意味での"ユルさ"がBASSDRUMの特徴だ。

「テクニカル・ディレクターってどんな仕事?」と思われる読者もいるだろうから、少し補足したい。

ここで言うテクニカル・ディレクターとは、プログラマーやエンジニアらの開発チームを率いる"技術監督"である。

この役職自体はITだけでなく、スポーツやテレビなど様々な業界で見られるものだが、この記事では広告などクリエイティブの制作に携わるテクニカル・ディレクターにフォーカスする。