〔PHOTO〕Dai Iizaka

いま、荻窪で在日ネパール人が急増しているワケ

彼らを支える「日本唯一の学校」に潜入
日本に住む外国人の数は年々増加している。中国、韓国、ベトナム人につづき、日本でいま身近な外国人となっているのが実はネパール人だ。増加率は10年前から比べると約10倍にも膨れ上がっている。

それに伴い、2013年には東京・荻窪に日本初であり、世界初のネパール人のインターナショナルスクールが開校した。生徒たちは日本でどんな教育を受けているのか?  ネパール人が増えている背景に何があるのか? TRANSIT43号のネパール特集に掲載したネパール人学校の取材記事を転載する。

文:櫻井 卓 写真:飯坂 大

5年で一軒家から地上3階のビルに移転

東京にやってくるネパール人はなぜ増えつづけているのか? その答えのひとつが荻窪にある。日本初のネパール人学校「エベレスト・インターナショナル・スクール・ジャパン」だ。

学年別の教室のほかに、25台のパソコンが用意されたパソコン室や理科実験室、オンライン図書館もある

荻窪駅と高井戸駅のちょうど中間に位置する、その学校を訪れた。教室に入って「ナマステー」と声をかけると「◎*△■○!!」と、もう元気いっぱいすぎて、なにがなんだか聞き取れない挨拶が返ってきた。

ここには現在、幼稚園から中学2年生までの約230人が通っている。最初に入ったのは、小学1年生のクラス。ちょうど昼食の時間だった。

この学校ができたのは、2013年の4月。幼稚園から小学3年生まで、児童数わずか13人からスタートした。最初は阿佐ヶ谷の一軒家だったが、その後児童数の増加に伴って、荻窪にも第2校舎を借りた。それでも急増する児童数には対応しきれず、地上3階地下1階のビルに移転したのは2018年8月。

数年前から阿佐ヶ谷や荻窪にネパール人が急激に増えている背景には、この学校の存在があるのだ。

 

母国語が話せない、という問題

創設者であり理事長を務めるブパール・マン・シュレスタさんに、学校をつくった経緯を伺う。

「日本に来るネパール人は、かつては出稼ぎで男性だけが来ることが多かったんですが、最近は、家族連れで来る人も増えてきました。日本生まれのネパールの子どもも多いです。そうなってくると、教育の問題が浮上してきました

授業は基本的に英語で行われ、算数、理科、社会などのほかに、ネパール語や日本語の授業もある。歴史は基本的にネパール史を学ぶ

とくに心配だったのは言葉の問題だった。日本で生まれ育って日本の学校に行くと、喋るのは常に日本語。母国のネパール語をまったく喋れない子が増えていたという。そうなるとネパールに帰省したときに現地の親戚や同級生とまったくコミュニケーションがとれない。

「それはとても悲しいですよね。それから、移住に関しても一番の問題はやはり教育。ここがあれば、親も子どもと一緒に日本に来やすい。今までのように親子が離ればなれにならなくて済むと考えました」