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3月末のトランプ・習近平会談の行方を決める「ワインのお値段」

これが国際政治の見方だ

中国経済の「重大事件」

中国の首都・北京の人民大会堂で第13期全国人民代表大会(全人代。国会に相当)第2回会議が3月5~15日まで開催中である。

今年の全人代は、習近平国家主席(共産党総書記)を始め、その他の国家指導部が深刻な中国経済の減速と熾烈な米中貿易戦争に直面する中での開催だけに、世界のチャイナ・ウォッチャーが多大な関心を寄せている。

注目を集めた経済成長率目標は、全人代初日に李克強首相が政策方針を示す政府活動報告(首相施政方針演説に相当)の中で、昨年の「6.5%前後」から「6~6.5%」に下方修正した。

と同時に、約33兆円規模の大型減税と社会保険料大幅軽減からインフラ投資拡大のための特別債約35兆円発行など政策総動員を表明した。

主要経済政策を最終決定するのは李首相ではなく習主席である中国にとって、成長目標の引き下げは2年ぶりであり、潜在成長率の低下を政府が認めたことを意味する「重大事件」である。

 

党内に広がる「不満」

全人代が開幕した5日付の全国紙では産経新聞だけが<全人代きょう開幕、習体制 くすぶる不満―米中摩擦で景気減速>と、厳しい見出しを掲げていた。「くすぶる不満」は事実である。習主席は経済を巧くコントロールできておらず、ドナルド・トランプ米大統領の求める課題にも十分取り組んでいない、そうした批判が共産党内の一部にあるのだ。

2019年10月1日は中華人民共和国建国70周年であり、とくに今年は中国の政治カレンダーにおいて重要な年である。

思い起こせば、1988~1989年の高インフレが1989年の天安門事件の直接のトリガー(引き金)となったわけで、その後の国家指導部は中国人民(国民)の経済的苦境が社会不安に繋がることを学んだ。

米高級ニューズレター「OBSERVATORY VIEW」(3月4日号)の指摘を紹介すれば、「習主席は対米トップ交渉を巧みにこなし、社会・経済安定を維持することができる最高指導者だと証明するよう、党内から圧力を受けている。今年の全人代は米中関係がギクシャクし、貿易戦争が中国経済安定の重大リスクになった環境で開催される」ということである。