知ってましたか?中国がいま、世界屈指の「現代アート大国」に変貌中

当局の後押しと規制の中で
佐々木 玄太郎 プロフィール

中国のアーティストのしたたかさと魅力

国際的に注目を集め続けるアイは、中国出身のアーティストの中でも非常に重要な存在であることは確かだ。しかし一方で、彼の活動姿勢は中国人アーティストとしてはかなり特殊なものであることも事実である。

現在、ほとんどの中国のアーティストたちにとって、アイのように自身の作品や活動の中で中国政府との対決姿勢を打ち出したり、直接的批判を表明したりすることは稀である。

それは、彼らが現体制を承認しているということを意味するのではない。政治への関心の度合いは人により様々だが、多くのアーティストは中国の現状に対する批判精神を少なからず持っている。

しかし、それが彼らの作品において表されたとしても、多くの場合それは間接的、あるいは隠喩的、もしくはより普遍化された形を取る。また、常に検閲にさらされる国内の展示環境にしても、煩わしくはありつつも中国のアーティストにとってはある意味で所与の条件であり、その中で自身の活動を展開していくしたたかさを彼らは持ち合わせている。

 

中国には魅力的なアーティストが数多く活動しているが、あいにくこの記事内では個別の作品例を挙げる余裕がない。だが日本国内でも国際芸術祭をはじめ、中国のアーティストの作品が展示される機会は年々増加しており、また筆者自身も2018年の秋に「魔都の鼓動 上海現代アートシーンのダイナミズム」という上海の現代美術に焦点を当てた展覧会を企画している。

関心のある方はそのような展覧会にもぜひ足を運んでいただきたい。あるいは手始めにそのカタログを手にとっていただくのもよいかと思う。

ジャン・ホァン〔張洹〕《Q Confucius No.2》2011 © Zhang Huan Studio All Rights Reserved.(「魔都の鼓動 上海現代アートシーンのダイナミズム」展より)

中国における現代美術を取り巻く環境変化のスピードは、近年再び加速しているように感じられる。しかし中国社会全体の動向と同様に、その行く先を見通しきることは容易ではない。

露わになりつつある中国経済の減速は、中国の現代美術の環境にどの程度影響を及ぼすのか。急成長した上海のアートシーンは、今後も活動の質を保ちながら継続的に発展していくことができるのか。また、中国の各地方都市において現代美術はどのような役割を期待され、いかなる展開を見せていくのか。そして目まぐるしく変化する環境の中から、どのような作品や活動が生まれてくるのか。今後も注視していきたい。