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スピードワゴン小沢「僕が女性に優しいのは、その子が彼女じゃないから」

小沢一敬の「わが人生最高の10冊」

当時の生き方と物語を重ねた

今回は人生で2回以上買った本を選んでいます。人に薦めたくて誰かにあげたり、持ち歩いたり読みすぎてボロボロになったり、新しく文庫になった時に懐かしくて手に取ったり。色々な理由で何度か買っているわけですが、とにかく、内容が面白く、思い入れがある本です。

中学2年生の時に出会ったロックバンド、ザ・ブルーハーツは僕の人生に強烈な影響を与えました。そのバンドのギタリスト、「マーシー」こと、真島昌利さんが好きだったのが、1位に挙げている『路上』です。

僕は彼の読んだ本を全部読もうと思い、知り得るかぎり、片っ端から読破しました。この本の著者のケルアックのほかに、ギンズバーグ、バロウズなどのビートニク文学のほか、海外の文学作品にも、マーシーの影響でどっぷりとハマりました。

『路上』の主人公たちは、旅をしながら、まさに転がり落ちていくような日々を過ごします。僕は中卒で、15歳の時に先輩と2人暮らしで寮に住み込みながら働いていた時期があり、1ヵ月勤務し2ヵ月遊ぶような毎日。この作品に自分の生活を重ねてもいました。

 

そして何より、この河出文庫の『路上』は、鈴木英人さんのイラストの装丁がすごく格好いい。持ち歩いているだけで、「こいつわかってる」感が出ます(笑)。この本自体、アイコン的ファッションアイテムとして当時、色々な漫画などにも描かれていました。10冊以上は買っています。

10代の時はお金はないけど、時間だけはあったから、本を読みまくっていました。その頃、ハマっていたのが阿佐田哲也です。

彼の代表作、『麻雀放浪記』の中で印象的なのが、坊や哲と並ぶ主役のドサ健が放つ、あるセリフ。宿敵の出目徳と大勝負して負け、自分の彼女のまゆみを女郎屋に入れるんですが、「この世でたった一人の俺の女だ」、「あいつと、死んだお袋と、この二人には迷惑をかけたってかまわねえのさ」って言うんです。

普通、彼女には優しく、大切にするものですが、僕はこの作品の影響か、逆に彼女にだけは迷惑をかけていいって考えを持っています。僕が基本的に女性に優しいのは、その女性が彼女じゃないから(笑)。