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テレビで話題『ポツンと一軒家』に住んでいる人は本当に幸せなのか

確かにこんな暮らしも悪くない

人里離れた場所に、なぜかある一軒家を調査する番組が話題を呼んでいる。そんな生活に、一度は憧れる人もいるだろう。今週発売の『週刊現代』では、実際に住んでいる彼らの話を特集している。

家まで車が通れない

「東京にいた頃と比べて、人間関係に悩まされることもない。いまはのんびり過ごせています」

そう話すのは、埼玉県飯能市の山奥で妻と暮らす嶋田豊さん(82歳)。高校を卒業後、警視庁第一機動隊の一員として働くも、毎日のように学生運動のデモ隊と対峙する生活に疲れていた。

そこで、26歳のときに静かな場所で暮らしたいと、妻の実家への婿入りを決意。半世紀以上、周囲1㎞以内に民家がまったくない家に住み続けている。

「テレビで見た人は不便だと思うでしょうが、問題ありません。強いて言えば、電波が不安定なことくらいです。埼玉県なのに、テレ玉(テレビ埼玉)が映りません。tvk(テレビ神奈川)は見られるのですが……」(嶋田さん)

テレビ朝日の大人気番組『ポツンと一軒家』(毎週日曜夜7時58分~)が快進撃を見せている。2月24日の放送では、平均視聴率16・4%をたたき出し、同じ時間帯で「1強」の『世界の果てまでイッテQ!』(日テレ系)を抜いたのだ。

グーグルアースの衛星写真から、人里離れた場所にある一軒家を見つけ、その住人と接触して暮らしぶりに迫るという内容。

目的の一軒家を見つけるまでのハラハラ感もさることながら、登場する住人それぞれに深い人生ドラマがあるので惹きつけられる。

みな満ち足りた表情を浮かべてその生活について話すので、「こんな暮らしも悪くない」と思う視聴者も少なくないだろう。

しかし、放送時間の都合でカットになった話もあるはずだ。番組の構成上、ネガティブな面は省かれているかもしれない。「ポツンと一軒家」に住む人は、果たして幸せなのか。

冒頭の嶋田さんのように、本誌は放送で紹介された一軒家を訪ね、改めて話を聞いてきた。

 

静岡県の市川清春さん(88歳)は、急峻な山道を20分ほど登った先にある一軒家に、妻と二人で住んでいる。

「生まれた時からこの家にいるので、出たいと思ったことはありません。山中の車道脇に設置した木製の階段を上って、自宅へとつづく山道を30分くらいかけて登りますが、どこに行くにも歩くのが当たり前の時代に育ったので辛くないです」

いまでも、週の半分は街に下りて趣味のグラウンド・ゴルフに熱を上げているという。その合間を縫って、本業のお茶の栽培や林業を営んでいるという。

ただ、そうは言っても自宅の周りは道路も舗装されておらず、車も通れない。食糧など、生活必需品の調達は苦労するのではないか。

「7~10日に一度、山を下ったところにある車庫から静岡の市街まで30分ほど車を走らせて食糧を購入します。買ってきたものは、人力で山中を往復しながら運んでいます。

ときには、兵糧が尽きそうになることもある。人にこの生活はオススメできません。救急隊だって来ることができないし、熊も出ますから。

だけど、住めば都なんだろうね。大変なこともあるけど、もう私たちは都会じゃ落ち着かなくて暮らせません」(市川さん)