「もう性交渉しない」と書かせる医師も…日本のアフターピル問題

市販薬化やオンライン処方を阻むもの
染矢 明日香 プロフィール

以下、同レビュー論文で言及されているさまざまな研究論文の内容の一部を要約したものです。

・ある無作為比較試験で、事前にアフターピルを配布されたグループの女性と、アフターピルを病院で処方してもらう以外の選択肢を与えられなかったグループの女性のあいだで、性感染症への感染率に違いが見られなかった。

・10代の若者にアフターピルについて教育した際、性行動の活発化やアフターピルの使用の増加にはつながらず、薬の正しい知識を高めることにつながった。

・アメリカではアフターピルの使用が10代後半の女性のあいだで着実に増加しながらも、その間、10代における性行為および妊娠の割合は減少している。因果関係について論じることはできないが、アフターピルの使用の増加が必ずしも性行動の促進や妊娠リスクの増加につながらないことを示唆していると言える。

・ある無作為比較試験では、無料で無制限にアフターピルを入手できたグループの女性は、アフターピルを購入したグループの女性に比べて、高い割合で、コンドームや他の避妊法を使用したくなかったためにアフターピルを使用した、ということが報告されている。

つまり、アクセスしやすさの度合いを考慮する必要があるものの、アフターピルのアクセス改善が必然的に性感染症のリスクの増加や性行動の促進につながるわけではないということが示されているのです。

 

ネットで非合法ピルの売買も…急がれる改善

〔PHOTO〕iStock

OCT化が見送られたアフターピルですが、2019年1月から、不適切なオンライン診療が頻発していることを背景に、オンライン診療によるアフターピルの処方が厚生省の検討委員会で議論されはじめています。

委員会のなかでは、レイプ被害者等の救済の視点から理解を示す意見がある一方で、薬剤の転売や薬害などのリスクなどの懸念があるため、産婦人科医師などの意見も踏まえて、さらに検討を深めていくという方針が示されています。

ただ、あまり議論に時間をかけている余裕がない現状があります。近年、SNSやフリマアプリ等を使ったアフターピルの非合法な販売が横行しています。ネットで販売されている海外の並行輸入品は、数千円という価格のお得感や受診が不要という手軽さから、手にする人が後を絶ちません。でも、それらは偽物である可能性があり、またそれを確認する術もないのです。