でも、ドイツの男性はけっこうキツイらしい

こう考えると「ドイツにいてよかったー!」なんて思いそうだが、そう万歳するのも気が引ける。というのも、それはしわ寄せが女にいっていないだけだからだ。

市民クラブで出会った40代の男性は、「女性の同僚が14ヶ月不在。ポジションは確保しとかなきゃこっちに罰則。で、ちょっと仕事復帰したら次は2人目妊娠だろ。7割の給料をもらっていて、ポジションもあるのに、オフィスにいない。うちみたいな小さい会社では大損害だよ」とぼやいていた。

女性労働者の権利を侵害すれば問題になるが、だからといって採用者や管理職に女性が少なければこれまた男女差別。女性は時短ワークが多いのでフルタイムで働く比率は男性が高いが、男性も育児休暇取得が推奨されて休むのだから、企業としてはたまったものではないだろう。

結局のところ、出産・育児で発生する負担はだれかが担っているわけで、ドイツではそれが企業による労働者の権利保証だったり、税金の投入だったり、男性の我慢だったりするわけだ。

子育てしやすい環境を整えるためのは労力や我慢が「しかたないこと」「そうすべきこと」と認識されているという意味では「進んでいる」のだろうけれど、他人に負担や我慢を強いている以上、手放しで「さっすがドイツ!」とも言いづらい。

時短ワークや在宅ワークが充実し、ポジションが確保される。そうであれば確かに復帰は早くしやすい。ただ、その分「誰かの支え」は当然必要ではある(写真はイメージです)Photo by iStock

ちなみに婦人病の検診について聞こうと産婦人科に電話して予約をとろうとしたが、8軒すべてで「新規患者は受け付けない」と門前払いをくらった。もしわたしが妊婦だったら大ピンチなのだが……。

子育てという大仕事を前に、日本だろうがドイツだろうが、万全の体制とはいかないらしい。当然といえば当然だけれど、なかなか心配である。

目を輝かして「産みたい」と言いたい

正直なところ、この記事を書くのには勇気が必要だった。こんなことを弱気なことをつらつらと書いたら、将来生まれる子どもがかわいそうかもしれない。適齢期の女性は「子どもを産んで当然」という空気のなか生きているし、みんなやってることなのに自分だけビクビクしているようで情けなかった。

わたしだって、「子どもを産むのが楽しみ!」と目を輝かせて言いたい。でも、しかたないじゃないか。そう思えるだけの根拠が足りないのだから。
いまはまだ、伝統的家族観から共働き家庭への過渡期だ。子育てしやすい社会のために声をあげる人はたくさんいる。「こんなのおかしい!」という声によって、これから世の中も変わっていくだろう。

でも、そんなの待てない。ネガティブなことを耳にするたび、目にするたび、もうすぐ当事者になるわたしは思うのだ、「わたしにも同じ理不尽が降りかかるんだ」と。そして、子育てへの気持ちはどんどんしぼんでいく。

もちろん、子どもは授かりものだし、身体的なことも含めて、子どもがほしいからといってすぐ授かるとは限らない。子どもを産まないのも個人の自由。ただ、「もし子どもをもつとしたら」と考えた時点で、すでに不安要素がいくらでも浮かんできてしまう

わたしは子どもがほしいし、できたら数年以内に、「母親」になりたいなぁと思っている。でもいざ母親になれたとして、わたしは子どもを抱いて笑っていられるんだろうか……。