22歳でドイツに渡ったライターの雨宮紫苑さん。ドイツで大学入試や就職での壁にぶち当たりながらも、「ドイツを生活の拠点」と選んで暮らしてきた。そんな雨宮さんが4月に結婚することになったのだが、その「先」のことが本当に気になるという。

そう、「出産」についてのことだ。日本にも毎年必ず帰国し、往復している雨宮さんが、日本でもドイツでも「出産・育児への不安」を感じる理由とは。

30歳くらいに子どもは欲しいよね、と言いながら

27歳、女。4月に入籍予定。そんなわたしの目下の関心ごとは、「出産」と「育児」だ。

ちょうど先日も、彼とこんな話をした。入籍して、少しお金を貯めて、30歳くらいには子どもがほしいよね――。これはたぶん、20代の多くの夫婦が交わす会話だろう。

結婚するとき笑顔で「子どもが欲しいね」、と言いたい、でもそれが言えない…Photo by iStock

でも耳に入ってくるのは、ワンオペ育児、家事をしない旦那、入れない保育園、社会復帰できない母親、仕事場で居場所がなくなるワーキングマザー、女性蔑視にあたる政治家の失言……。心が折れそうになるニュースばかり

2月半ばは、認可保育園入園の可否が出る時期だった。twitterでは『#保育園落ちた』というハッシュタグとともに「退職決定」「復職は絶望的」というツイートがいくつも流れてくる。ああ、次は、わたしだ

子連れ出勤の話題も記憶に新しい。わたしは家で働くフリーランサーだけれど、「やっぱり女は仕事も育児も全部やらないと許してくれないのね」なんて絶望的な気持ちになった。

すでに母親になった友人の「子どもはかわいいよ」「子育て楽しいよ」という言葉より、ネットに踊る『離婚して貧困にあえぐシングルマザー』、『旦那はいるのにワンオペ育児状態で家事と育児と仕事の三重苦』という記事のほうが圧倒的にリアルだ。

母親になりたいと思っても、後押しする追い風要素は皆無。これが現実。いったいどうすれば……とすでに頭を抱えている。

「家事をやるのは女」思想が根強い

実際のところ、まわりの男友達や夫婦を見ても、20代で「女が家事と育児をすべてやるべき」と思い込んでいる人は少ないと思う。

そもそも男性ひとりの稼ぎで家族を養えるご時世ではないので、必然的に女も働く。核家族化で実家に頼れない人も多いから、家事も育児も夫婦が協力してやっている印象だ。

イクメンオブザイヤー2018を受賞したりゅうちぇるさんがつぶやいているように、「イクメンという言葉がなくなるくらいパパも当たり前に子育て」というスタンスが一般的になりつつあるのだろう(可能かどうかは別として)。

しかし社会で力をもっている世代は、「男は仕事、女が育児と家事」の時代を生きてきた人たちだ。いまだにそれが当たり前だと思っている人も少なくない。

だから、麻生太郎副総理兼財務相の「子どもを産まなかったほうが問題」、加藤寛治議員の「必ず新郎新婦に3人以上の子供を産み育てていただきたい」、二階俊博自由民主党幹事長の「産まない方が幸せというのは勝手な考え」など、政治家の失言が繰り返される。

この発言をした方々は、当時全員70代。そりゃ生きてる時代が半世紀もちがえば、考え方もちがうだろう。子育て世代の現状がわかっていれば、そうかんたんに「子どもを産んで育てろ」なんて言えないはずだ。それをわかってない人が国の舵を切ってるって、ここはディストピアか?(念のために書くと、政権批判の意図はない)