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世界の株価は「中国債務危機」のリスクに身構えている

処理先延ばしでも成長率低下は不可避

いよいよバブル崩壊だが

2008年のリーマンショック以降、長期的には持続不可能な信用・債務膨張に支えられてきた中国経済が、ようやく本格的な債務調整局面に入りつつあるように見える。私が「中国バブルの『ミンスキーモメント』」 (2016年1月)を某大手情報通信社のコラムで掲載してから3年が経った。

当時、国際決済銀行(BIS)のデータを使用して、中国の「民間非金融部門」の債務残高の増加が2009年以降、それまでのトレンドとは乖離した急角度で増加していることを示した(図表1)。

言うまでもなく、そうした急激な信用膨張は、リーマンショック後の世界不況による中国の景気後退を回避するための4兆元と言われる大規模な内需拡大政策を契機にしている。

この時の景気対策は中央政府の財政支出の拡大もあったろうが、信用拡大(ファイナンス資金)に依存した地方政府などの公共事業(固定資本形成)に拍車をかける形で行われた。

 

一方、GDPで見た中国の経済成長率は次第に低下した。その結果、加速した信用膨張と、低下する実体経済の成長率という、長期的には持続不可能な不均衡パターンに中国経済が陥っていることを示した。

GDPとはその国が1年間に生み出す付加価値の総額である。したがってマクロ的に見て、追加的な信用(ファイナンス)の増加が生み出す付加価値が急速に低下しているわけであり、収益性が低いか、あるいは収益を生まない投資が急増していることを意味する。

当時、既に鉄鋼、自動車、造船産業などに代表される未曾有の過剰生産能力(稼働率の激減)、居住者の入らない集合住宅や工場団地など実体経済面でバブル現象は歴然としていた。

それにもかかわらず、民間非金融部門の債務増加が止まらない事情に関して、依然として指令経済的な色彩が強い中国の金融システムの特徴を指摘した。

つまり、中国では政府による中央からの指示と暗黙の保証の働きにより、不良資産・過剰債務を抱える大企業や融資平台の損失計上、あるいは破綻処理が大規模に先送りされてきたのだ。

金融レバレッジが生み出すクレジットサイクルと金融の不安定性を強調した経済学者ハイマン・ミンスキーにちなんで、バブルの発生から調整・崩壊に転じる局面は「ミンスキーモメント」と呼ばれている。

中国経済もいずれそうした局面に直面することは不可避であると考えた。