『白雪姫』や『シンデレラ』、『美女と野獣』に『アナと雪の女王』など、ディズニーが生み出すプリンセスはいつの世も人々を魅了してきました。しかし、そこに描かれる女性像が、実は時代や社会状況に合わせて絶えず更新を繰り返してきたものだということはあまり知られていません。そこにはどんな変遷があったのでしょうか?

ディズニープリンセスの歴史に詳しい評論家の荻上チキさんに、少女マンガの研究者であるトミヤマユキコさんがお話をうかがいました。

プリンセスの変遷とリンクする
〝ディズニーコード〞とは?

トミヤマユキコ(以下、トミ) 私は幼い頃から男の子っぽい性格だったせいか、プリンセス願望が希薄で、『白雪姫』や『シンデレラ』にいまひとつハマれないまま育ち、思春期にはディズニーから完全に離れてしまったんです。でも、大人になってから『メリダとおそろしの森』や『アナと雪の女王』に感動して、再びディズニーに戻ってきました。

 荻上さんは著書『ディズニープリンセスと幸せの法則』(星海社新書)の中で、ディズニー作品に登場するプリンセス像を、時代ごとに「ディズニーコード1・0」「2・0」「3・0」と、3段階に分類していましたよね。

荻上チキ(以下、荻上) コードというのは、「王子様とお姫様が出会うと恋に落ちる」「魔女にかけられた呪いを、真実のキスで解く」といった〝お約束〞のことです。この変遷が、描かれるプリンセス像の変化と密接にリンクしている。

トミ 「これまでのプリンセスはもう古い!」「新しいプリンセスはこれだ!」って、ある意味では、過去のプリンセスを乗り越える〝コードの更新〞があるんですよね。私はこのことを知って、自分がなぜ『アナ雪』に感動したのかわかりました。しばらくディズニー映画から離れている間に、プリンセス像が大幅にアップデートされてたんだなって。

「美しくて従順で働き者」という保守的な女性像

トミ まず「1・0」にあたる初期作品群について振り返ってみたいのですが、ここに分類されるのが『白雪姫』『シンデレラ』『眠れる森の美女』という、誰もが知るディズニーの名作たち。

荻上 これらは「古典3部作」とも呼ばれていて、お姫様がとても素敵な王子様とめぐり合って、最終的に「末永く幸せに暮らしました」と締めくくられる構成です。

トミ まさにプリンセス願望の原型。

左から『白雪姫』MovieNEX発売中/デジタル配信中、『シンデレラ ダイヤモンド・コレクション』MovieNEX発売中/デジタル配信中、『眠れる森の美女』MovieNEX発売中/デジタル配信中 ©2016 Disney

<ディズニーコード 1・0>
・プリンセスは美しく、従順で、働き者
・不幸な境遇から王子様が救ってくれる
・西洋のプリンセスが王子様と出会って恋に落ちる
出典:荻上チキ『ディズニープリンセスと幸せの法則』(星海社新書)より