スウェーデン第3の都市、マルメがサステナブルな街として世界の先端をいく背景にはプロジェクトをサポートする団体の存在も大きい。マルメの街と活動について、Hållbar Utveckling Skåne のヘレナ・テランダーに聞きました。

同じ問題意識を持つ人たちと
“繋がる” ことを大切に

「スウェーデンでは “健康と食” というテーマがいちばん関心が高くて入りやすい。日本も一緒なのでは?」とヘレナ。

「私たちは“サステナビリティ”が基本になっているプロジェクトで、SDGsに関わっていることであればすべてやります」

そう話すのは「ホールバー ウットベックリング スコーネ(サステナブル ディベロップメントスコーネ)」のヘレナ・テランダー。彼女が在籍する協会では、マルメを含む、スコーネ県全体の持続可能な社会を目指すための経済的、社会的活動のサポートやアドバイスを行っている。サステナビリティのための活動を軸にした協会は1998年に発足し、今年で20年を迎えた。

「最初は1992年にブラジルのリオ・デ・ジャネイロで採択されたアジェンダ21に取り組むためにはじまりました。そのまま発展し、今は2015年に採択されたSDGsと並行した形で活動しています」

現在、80の団体が会員として参加しているが、その中にはスコーネ県のほぼすべての自治体のほかに、大学や企業、市民団体が名を連ねる。プロジェクトがはじまるきっかけは、例えば「サーキュラーエコノミーでキノコを作りたい」という企画が挙がれば、それに対して会員がジャッジし、同意が得られればスタートできる。ほかにもさまざまな課題に対して、専門分野の会員ネットワークから人材や企業をマッチングしたり、資金調達をしたりするなど、活動は多岐にわたる。基本的に独立してプロジェクトを遂行することはなく、すべて自治体と協力し合って活動する仕組みだ。中でもマルメは自治体が主導してやっていることが大きいという。

「現在、私が取り組んでいるのは、2030年までに食品廃棄を今の半分までに減らすこと。スコーネ県全体でやるプロジェクトなので、ヨーテボリ(スウェーデン第2の都市)にも呼びかけようという動きになっています。マルメは昔から自治体と市民団体が一緒に何かを作っていくことにとても積極的な土地でした。市民の声に耳を傾けることが基本姿勢としてあります。以前、自治体が仕事を依頼した会社が化石燃料に関係しているとわかったときには、市民から反対意見が挙がり手を引いたことがありました。自治体のあり方としてとても進んでいると思います」

SDGsに関する活動の窓口となるこの協会の存在は大きく、徐々に広がってはいるが、まだまだ物足りないと話す。

「SDGsの目標でいうと12の『つくる責任つかう責任』が市民生活に近く、私たちの活動の基本、いちばん力を入れているテーマです。個人的に好きなのはSDGsの根底にある “誰も置き去りにしない” という考え方。17個の大きな目標の中にはさらに169のターゲットがあるので、これまで以上に周知し、的確なプロジェクトを推進していかなくてはなりません」
 

マルメの公園内には市民が手がけるオーガニックガーデンがある。これも住民の声によるもの。

マルメの街では、市民たちの問題意識の高さに驚かされるが、特に子どもが大きくなった時に地球がどうなっているかを心配する、30代から40代を中心とした親世代の意識が高まっているという。親になると急に口に入れるものが気になる、オーガニック志向になるというのは日本でも同じかもしれない。ヘレナが進めるのは “ティルサマンス” 。スウェーデン語で「一緒に」という意味だ。

「ゴミの問題、サーキュラーエコノミー、自然環境、食品廃棄などが気になっている人が多いですが、この街では同じ問題意識を持つ人たちと “繋がる” ことを大切にしています。繋がりが生まれると、同じゴールに向かって一緒に動いている感覚があるので、楽しみながらでき、活動も活発になります」

取材した6組もみな、自分が興味ある課題に対して向き合い、活動そのものを面白がっていた。マルメの街の繋がりやすさ、そして楽しい気持ちになる活動は、私たちの意識を変えるヒントになりそうだ。


 

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Photo:Norio Kidera Coordination:Akiko Frid Text&edit:Chizuru Atsuta