今一番思っているのは、
穏やかな気持ちでいたいなっていうこと

「あれもやりたいこれもやりたいという感じで、色んなことに手を出す人だと思われているかもしれないですよね。でも僕としては昔から好きで続けていることが仕事になっているという感覚なんです。音楽、役者、文章を書くこと。その3つをやれるのはとてもありがたいですし、むやみに仕事をするのではなく、それぞれを大事にしたいと思っています。

そして今一番思っているのは、穏やかな気持ちでいたいなっていうことですね(笑)。適度に休みつつ、でも僕にはだらしないところもあるので、適度に仕事もあったほうがちゃんと生きられるんですよね」

2012年にくも膜下出血で活動を休止するという経験をしているからだろうか。スローダウンすることの大切さも感じ、「前みたいに仕事を詰め込まないようにしながら、今できることとひとつひとつ向き合っていきたい」という思いを抱くようになったという星野さん。

それでも挑んでみたいと心動かされる仕事との出会いは、ふいに訪れる。『夜は短し歩けよ乙女』の声優への挑戦は、『マインド・ゲーム』などで知られるアニメーション作家、湯浅政明監督が綴った、一通の手紙からはじまった。
 

「声優は俳優のなかに含まれている仕事だという考え方もできると思うのですが、僕にとってやり慣れている仕事ではありませんし、ハードルが高く感じられて最初は迷っていたんです。なぜ僕にお話をくださったんだろうと思っていたときに、監督から直筆のお手紙が届いて。“星野さんにやってもらえたら、絶対に面白くなります” というお手紙を読んで、監督を信じて頑張ってみたいなという気持ちで受けさせていただきました」

 実はもともと湯浅監督の大ファンで、『マインド・ゲーム』を観たときには「イマジネーションの豊かさと、アニメーションならではの快感があった」と語る。

森見登美彦のベストセラー小説を映画化した『夜は短し歩けよ乙女』も、一夜のマジカルな出来事が流れるように描かれた作品だ。星野さんにとってアニメの声優の仕事は『聖☆おにいさん』以来となる。
 

「とても楽しかったです。今回はほとんどの声優さんが、ひとりで収録する形だったんですね。3日間ほど時間をいただいて、ブースのなかには僕ひとりしかいませんでしたが、スタッフのみなさんがすごく優しくて、一緒にキャラクターを作ってくれた感覚があります。もっとやりたいという僕の気持ちに最後まで付き合ってくださって、6~7時間ずっと絶叫しっぱなしということもありました(笑)」