産む選択にかけてみる価値は
あると思います

そんな川上さんに今一番の楽しい瞬間は? とたずねると、それは仕事ではなくお子さんが与えてくれる時間なのだそう。

「人生で楽しいと思えることはあんまりなかったんだけれど、子どもに会えたことはわたしにとって最高の出来事でした。子どもが生まれて私の内面が広がりました、とかも絶対に言いたくないし、めっちゃしんどいけれど、もし産もうかどうか悩んでいる人がいたら、産む選択にかけてみる価値はあると思います。本当に、唯一無二の関係の人間に出会う幸せと衝撃があります。でも、それは実際に産んでみないとわからない。私がそう思えたのはたまたまのことで、親子がどんな関係になるかは、やっぱり人それぞれです。でも、そのリスクと大変さを承知の上でもう一度選択できるとしても……タラレバ話に意味はないけど、やっぱり産みます。これって何の力なんだろうな。不思議ですね。」

今は母親や子育て問題に対して最もリアリティを感じる、という彼女が向かう次なるステージは、戦う女たちの道を照らす光になるに違いない。

PROFILE

川上未映子 Mieko Kawakami
1979年、大阪府生まれ。2007年、初めての中編小説『わたくし率 イン 歯ー、または世界』が第137回芥川賞候補となる。同年、早稲田大学坪内逍遙大賞奨励賞を受賞。’08年、『乳と卵』が第138回芥川賞を受賞。 09年、長編小説『ヘヴン』を発表し、芸術選奨文部科学大臣新人賞、紫式部文学賞を受賞。12年に男児を出産した。最新刊は『おめかしの引力』(朝日新聞出版)。

●情報は、FRaU 2016年5月号発売時点のものです。
Photo:Kazuo Ishikura(ISHI’S Office) Styling:NIMU(MAKIURA OFFICE) Hair&Make-up:Mieko Yoshioka Interview&Text:Tomoko Ogawa Edit:Ryuji Ogura

▼こちらの記事もチェック!