ジビエといえば秋冬を象徴するものと思われがちだが、昨今注目を集めるのが夏ジビエ。特に今、害獣駆除の観点から全国でシーズンを問わず捕られているのが鹿! 脂がのる秋が良いと思われがちだが、実はクセがなくて食べやすく、肉質が良いのは夏の鹿肉という。今まで出会った事のない味を求めて、今年は夏ジビエにトライしたい!
夏山で鹿を追う
ハンティングツアーも!
北海道の大自然に囲まれて
ハンティングからジビエ料理まで
北海道の北東部、オホーツク海から25㎞ほど内陸に位置する西ニシオコッペ興部村は広大な牧草地と豊かな森林に囲まれ、年間平均気温が5.76℃。夏でも極めて涼しく、北海道ならではの大自然を満喫できるのどかな山村だ。林道散策や渓流釣り、山菜採り、牧場体験など魅力的なアクティビティに事欠かないが、中でも近年注目を集めているのがハンティングツアーだ。狩猟期間といえば秋から初春にかけて、つまり冬ジビエのイメージが一般的だが、ここ西興部村では2004年にエゾシカ管理を行う独自の猟区が村に開設されて以来、個体数調整のための捕獲が推進され夏ジビエを楽しむことができるのだ。
「冬の北海道はエゾシカの餌となる草木などが不足するため、冬のシカは痩せていて肉質も水分が多い。しかし春になると木々の新芽や牧草を食べて育つ西興部村のシカは6月になると脂ものってくるほど体も回復し、実はとても美味しく食べることができるんです。しかも彼らは、牛のための自然味たっぷりの牧草と同じものを食べて育つので、美味しくないはずがない!」と、西興部村猟区管理協会の伊吾田順平さん。
「エゾシカエコツアー」では、ハンティング見学から剝皮、解体見学、鹿革のクラフト体験、ジビエ料理教室まで盛りだくさんの内容。大自然の中で豪快に調理されるジビエ料理の味わいは格別。また、オーガニックな材料を使い、約1ヵ月かけて手作業で丁寧に鞣なめされる鹿革は高級品の域! 柔らかく鞣された鹿革で小物作りも楽しめる。Photo:NPO法人西興部村猟区管理協会
「エゾシカエコツアー」では、ハンティング見学から剝皮、解体見学、鹿革のクラフト体験、ジビエ料理教室まで盛りだくさんの内容。大自然の中で豪快に調理されるジビエ料理の味わいは格別。また、オーガニックな材料を使い、約1ヵ月かけて手作業で丁寧に鞣なめされる鹿革は高級品の域! 柔らかく鞣された鹿革で小物作りも楽しめる。Photo:NPO法人西興部村猟区管理協会
「エゾシカエコツアー」では、ハンティング見学から剝皮、解体見学、鹿革のクラフト体験、ジビエ料理教室まで盛りだくさんの内容。大自然の中で豪快に調理されるジビエ料理の味わいは格別。また、オーガニックな材料を使い、約1ヵ月かけて手作業で丁寧に鞣なめされる鹿革は高級品の域! 柔らかく鞣された鹿革で小物作りも楽しめる。Photo:NPO法人西興部村猟区管理協会
「エゾシカエコツアー」では、ハンティング見学から剝皮、解体見学、鹿革のクラフト体験、ジビエ料理教室まで盛りだくさんの内容。大自然の中で豪快に調理されるジビエ料理の味わいは格別。また、オーガニックな材料を使い、約1ヵ月かけて手作業で丁寧に鞣なめされる鹿革は高級品の域! 柔らかく鞣された鹿革で小物作りも楽しめる。Photo:NPO法人西興部村猟区管理協会
「エゾシカエコツアー」では、ハンティング見学から剝皮、解体見学、鹿革のクラフト体験、ジビエ料理教室まで盛りだくさんの内容。大自然の中で豪快に調理されるジビエ料理の味わいは格別。また、オーガニックな材料を使い、約1ヵ月かけて手作業で丁寧に鞣なめされる鹿革は高級品の域! 柔らかく鞣された鹿革で小物作りも楽しめる。Photo:NPO法人西興部村猟区管理協会
夏のハンティング見学は早朝4時、日の出と共にはじまる。朝陽が差す広大な牧草地に目を凝らすと、草を食むエゾシカたちの姿。この季節は生まれたばかりのバンビたちも元気に走り回っている。獲ったら、捌く。エゾシカの生態や衛生的な処理方法も学びながら、解体、剝皮を手伝う。いきものの命をいただくということを真摯に受け止めながら、獲ったお肉はロースト、スモーク、BBQへと料理され、美味しくいただく。北海道でしか味わえない夏のジビエは、きっと忘れられない体験になるはず。
NPO法人西興部村猟区管理協会
北海道紋別郡西興部村字西興部485
☎0158-87-2180
2泊3日のエゾシカエコツアーほか、自由にプログラムを組み合わせて作るオーダーメイドエコツアーなど様々なプログラムがそろう。
夏ジビエを味わうなら
「Passo a Passo」
香りもよく、柔らかい
夏ならではの鹿肉の魅力
シェフが刺身で食べたいと言うほど新鮮な鹿肉はタリアータで。繊細に火を通し、軽めの赤ワインソースと夏野菜のグリルを添えて。
日本の食材を活かしたイタリア料理に定評がある門前仲町の「パッソ ア パッソ」。秋冬に供されるジビエのコースにファンが多いのはもちろん、夏ジビエも積極的に取り入れ、料理人が対象のジビエ講習会の実施経験もあるオーナーシェフ・有馬邦明さんに聞いた。 シェフが刺身で食べたいと言うほど新鮮な鹿肉はタリアータで。繊細に火を通し、軽めの赤ワインソースと夏野菜のグリルを添えて。店内にある椅子や家具、食器、絵画など、すべてにこだわりが詰まっている。それらを作った職人の想いまで伝わってくるような温もりある空間。
「ジビエのシーズンといえば、狩猟が解禁になる秋冬。動物たちは越冬するために山が用意した木の実などを食べて脂肪を蓄えます。その上、食料集めなどのため運動量も増えており、肉質も引き締まる。元々、こうして蓄えられたミネラルをいただくことで人間も冬を越していました。一方、夏の鹿は柔らかい木の芽や澄んだ雪解け水を口にしているため香りがいい。運動量も適度で肉質も柔らかくなります。動物は食べるものによって肉質が変わり、美味しさや香りも変化します。鹿はそれを特に感じやすく季節ごとの味わいを楽しめるのです。そのため、鹿肉は“夏も食べるべきジビエ”と言えますね」
店内にある椅子や家具、食器、絵画など、すべてにこだわりが詰まっている。それらを作った職人の想いまで伝わってくるような温もりある空間。
店内にある椅子や家具、食器、絵画など、すべてにこだわりが詰まっている。それらを作った職人の想いまで伝わってくるような温もりある空間。
Passo a Passo
東京都江東区深川2-6-1 アワーズビル1F
☎03-5245-8645
営業時間:18:00~21:30LO
定休日:水
シェフ自ら産地に赴き、生産者との密な関係を築くことで信頼のおける食材を仕入れている。メニューは、おまかせの1コースのみ。
夏ジビエ、自宅で料理、山でBBQ
オトリヨセ
ジビエを自分で調理しようと思うと、少しハードルが高いかも?と敬遠してしまいがち……。でも、肉質が柔らかく、風味もさっぱりとする“夏ジカ”なら、シンプルな調理法でも十分美味しくいただけるんです!
イズシカ屋の
イズシカ肉 ロース肉
伊豆市産天然鹿のイズシカ肉などを扱う店舗。枝肉の状態で数日間、冷蔵保管して熟成させているため、鹿肉本来の甘みを楽しめる。ロース肉は、赤身肉の上品な味わいと、きめ細かい肉質の食感が魅力で人気の高い部位。一番おすすめの調理法はロースト。 イズシカ肉 ロース肉 100g・¥500 ※写真は800g
イズシカ屋
静岡県伊豆市下船原6-1
☎0558-87-081
オトリヨセの方法:ホームページから注文
鹿肉普及委員会の
蝦夷鹿精肉 内ももブロック
捕獲してからの時間と処理方法が味や品質を左右するため、年間契約している腕のよい北海道のハンター4名からのみ仕入れを行う。後ろ足の付け根の部分に当たる内モモ肉は、モモ肉の中でも特に柔らかく、比較的脂肪が少ないため煮込みや竜田揚げに適している。 鹿肉内ももブロック 1kg(不定貫)¥4320
鹿肉普及委員会
☎0120-026249(平日9:00~18:00)
オトリヨセの方法:ホームページから注文
猪鹿庵の加工肉
スモーク、ウインナーともに鳥取県若桜町産の鹿肉を使用。5種類のチップで燻した鹿スモークは、そのままスライスしておつまみとして味わうのがおすすめ。豚肉を20%加えることでジューシーさを出したウインナーは、ボイルして。スパイスの風味も食欲をそそる。 鹿スモーク ¥1000 鹿ウインナー ¥850
猪鹿庵(ジビエアン)
鳥取県八頭郡若桜町1053-5
☎0858-82-0453
FAX:0858-82-0912
オトリヨセの方法:電話またはFAXで注文
●情報は、FRaU2016年8月号発売時点のものです。
Photo:Takaaki Inoue(Passo a Passo)Makoto Muto, Yuki Matsui Text:Chisa Nishinoiri, Aiko Hayashi(Passo a Passo、オトリヨセ)