ブランディングディレクター福田春美さんの連載。今回のゲストは、料理研究家の内田真美さん。15年ほど前から台湾に足を運ぶようになったという内田さん。台湾のこと、おもてなしのことなど、お話をうかがいにアトリエにお邪魔しました。
[福田春美 連載 vol.7]
今回のゲストは……
手際よく中国茶を入れる内田さん。
料理研究家
内田真美さん
書籍や雑誌、広告など、幅広いシーンでレシピを提案。料理会や様々なお菓子を紹介する会は毎回人気。著書も多数。『洋風料理 私のルール』『私的台湾食記帖』(ともにアノニマ・スタジオ)に続き、2017年の晩秋に台北を紹介する本をアノニマ・スタジオから刊行予定。
お客様へのおもてなしは
作りたての一番おいしい状態で
ゆったりとお茶の時間を楽しむ2人。
春美(以下H):先日、初めて台湾に行ったんですけど、真美さんの本を片手に見て回って。とても役に立ちました。
真美(以下M):それはよかったです(笑)。仕事では、年に4~5回行くこともありました。今はだいたい1年か半年に1回、娘を連れて遊びに行っています。 緑豆と栗あんを使った一口サイズのお菓子、緑豆糕。台湾で人気の伝統菓子。上品な甘さと、ほろりと口の中で溶けていくような食感がやみつきに。和菓子に比べて糖度が低めで、甘すぎない。
H:台湾に行くようになったきっかけは何だったのでしょう。
M:20年ほど前、各国の食文化を紹介する書籍を読んで、台湾に興味を持って。実際に行ってみたら想像以上に素晴らしかった。みんな優しくて、穏やかで、ご飯もおいしい。それ以来、少しずつ通うようになりました。それが15年くらい前。今日は春美さんに台湾のお菓子と中国茶をご用意しました。
H:わ! かわいいお菓子。
M:台湾の伝統的な菓子、緑豆糕(リュウトウガオ)です。糕は小麦粉、豆粉などで作った塊状の菓子。通常は中に何も入れないのですが、今日は栗あんを入れて、季節のお菓子にしてみました。お茶は高山(こうざん)烏龍茶です。 中国茶でおもてなしするときには色々な組み合わせで。急須やカップは好きなものを合わせて。堅苦しくなく、自由なスタイルで楽しめるのが良いところ。アンティークものとの相性も良い。
H:しっとりしていて、口の中でとろけます。お茶ともよく合いますね。
M:中国茶には流派がなく、作法も特に決まってないので、台湾では思い思いにしつらえもてなしています。ゆっくり楽しむことが一番ですので。 食べる直前に型から抜けば、水分が抜けず、しっとりしたおいしさに。
H:おもてなしで大切にしていることはありますか?
M:お客様にはできるだけ作りたてを召し上がっていただきたい。例えば今回は型から押し出して作るお菓子。抜きたてのおいしさがあるので、ギリギリまで準備をしておいて、いらっしゃってから型抜きをする。一番おいしい状態でのおもてなしを心がけています。
アトリエの一角にある収納棚には、グラスや器がぎっしり。洋の東西を問わないラインナップが圧巻。
器の中では特にオーバルの形が好きだという内田さん。イギリス、フランス、スリランカのものが多い。
▼こちらの記事もチェック!
PROFILE
福田春美 Harumi Fukuda
企業のプロジェクトをはじめ、ストアブランディング、インテリアスタイリングなど、ファッションからライフスタイル系まで、垣根を越えて幅広くブランドディレクションを手がける。趣味は料理と旅。最近は故郷・北海道の魅力にハマり、定期的に通い続ける日々。
●情報は、FRaU2017年12月号発売時点のものです。
撮影:若木信吾 Text:Chizuru Atsuta