国内外から注目が集まる九州きっての湯けむりスポット・黒川温泉。7種類もの泉質が揃うここはどんな美容のお悩みにもアプローチできる、いわば天然のエステサロン。さあ、大地が育んだ美容液をチャージしに黒川へ。
温泉の種類が豊富な黒川では、それぞれの泉質の効能をいかし、相乗効果を狙える順序・組み合わせで湯めぐりを。まずは美肌を手に入れるための、3ステップ・ホッピングをご紹介。
黒川温泉観光旅館協同組合 監修
温泉ホッピングのルール
「露天風呂めぐり入湯手形」って何?
¥1300(税込み)
黒川温泉内の3箇所の露天風呂を立ち寄り入浴で楽しめる “温泉パス”。提示すれば温泉街の多くの店で代金が割引になるなどのサービスも。各宿の立ち寄り入浴時間:8:30~ 21:00
ホッピングの回数
初日は1つのお湯でウォーミングアップを! 2日め以降からホッピングをはじめ、1日に巡るのは3箇所以内にするのが理想。
時間と温度
まずはぬるめのお湯に5分ほど浸かって、体を温かさと泉質に慣らす。それから徐々に入湯時間を長くしていく。
ストレスをリセットする入浴法
午前10時から11時の間に湯船の縁をピロー代わりにして体を伸ばすのがおすすめ。さらに、就寝前にも同じように入るとベター!
冷え性改善法
約42度の熱めのお湯に5分ほど浸かった後、冷たい水に手足を3分くらいつけると巡りが良くなってポカポカに。
凝り固まった体をほぐす入り方
湯船の縁に両手をかけ、湯の中で5回ほど全身をストレッチ。背中を反らせるのも◎。休憩しながら2回ほど繰り返す。
STEP1
まずは炭酸水素塩泉で
肌をクレンジング!
美肌作りのウォーミングアップに最適なのがこの泉質。皮膚を柔らかくし、皮脂や付着している汚れをさっぱりと洗浄する効果が望める。
やまびこ旅館「仙人風呂」
肌を優しく浄化する美しきターコイズブルーの湯。
黒川温泉の中でも特に広大な露天風呂を有するのがこちら。湯質はとろりと滑らかで、浸かっているうちにじわじわと皮膚の奥へと浸透し、浄化してくれるような心地よさを味わえる。深いブルーを湛えたその湯は、保湿効果で知られるメタケイ酸の含有量の多さでも知られる。炭酸水素塩泉はクレンジング効果が高いぶん、皮膚の乾燥を招くこともあるが、こちらはメタケイ酸のおかげで肌を潤わせる効果も上々。炎症や傷の回復が早くなるとの声も。 取材した日は雪が舞い、お湯は蒸気と雪でミルキートーンに変貌していた。「仙人風呂」は風が心地よく抜ける場所に浅めに作られているため、長時間浸かっていてものぼせにくい。
やまびこ旅館
熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6704
☎0967-44-0311
利用形態:源泉かけ流し
泉質:炭酸水素塩泉・塩化物泉・硫酸塩泉
立ち寄り入浴料:¥500(税込み)
宿泊料金:1泊2食¥16000~
旅館 山河「四季の湯」
オールインワンコスメ級!クレンジングも保湿も叶う。
温泉街から2キロほど離れた落葉樹の森にひっそりと佇む秘湯。岩づくりの湯船に体を沈めれば、そこは俗世間から隔絶された湯けむりのパラダイス。肌クレンズ作用に加え、硫酸塩による血行促進や塩化物による保温効果も得られるため、体の芯からポカポカと温まって血色感のある明るい肌に。さらに注目すべきは、内湯は単純硫黄泉であること。“三大美肌の泉質” と言われる炭酸水素塩、硫酸塩、硫黄の3つを一所で体験できる、国内でも稀有なスポット。 約3000坪の広大な敷地の奥に佇むのが「四季の湯」。鳥のさえずりや川のせせらぎに耳を傾けながらの入浴は、心まで清めてくれるよう。入浴後の肌はさっぱりしつつ程よく艶が。
旅館 山河
熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6961-1
☎0967-44-0906
利用形態:源泉かけ流し
泉質:炭酸水素塩泉・塩化物泉・硫酸塩泉
単独で入る場合の立ち寄り入浴料:¥500(税込み)
宿泊料金:1泊2食¥15000~
STEP2
ピーリング効果を望める
弱アルカリの湯へ
弱アルカリ泉には、古い角質を取り除くピーリング効果が期待できる。角質を除去することで、温泉の美容成分をチャージしやすい、すこやかな肌に。
御客屋「姫肌の湯」
シルクのように柔らかな湯で敏感肌もソフトに角質オフ。2016年の震災の後、含鉄泉から泉質が変わった。お湯は41度前後で肌を優しく包んでくれるよう。「姫肌の湯」の建物は築約60年で、創業当時の面影を今に残している。
1722年創業の黒川温泉きっての老舗。湯は肌あたりがマイルドな無色透明。角質除去効果を望めるが、刺激は少ないので、敏感肌の人でも湯あたりしにくい。保湿成分・メタケイ酸の含有量が1㎏の湯に296㎎と極めて高いため、肌をしっとり潤わせる作用も。宿のおすすめは10分浸かったら10分は上がって体を休める反復入浴。ピーリングと保湿のW効果のおかげか、湯上がりの肌はエステでケアを受けた後のようにぷるんっ! 川の側には露天も。
御客屋
熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6546
☎0967-44-0454
利用形態:源泉かけ流し
泉質:弱アルカリ性単純温泉
立ち寄り入浴料:¥600(税込み)
宿泊料金:1泊2食¥14000~
ふもと旅館「うえんの湯」
ひと皮向けたような艶肌を手に入れたいならここ! 内湯も含めると13種の風呂があるので、宿泊して施設内でじっくり湯めぐりを楽しむのもいい。
磨き上げたようにツルツルの柔らか肌が手に入ると評判なのが、ふもと旅館の「うえんの湯」。田の原川を渡り、竹が茂る丘を登った先に露天風呂がひっそりと佇んでいる。そのため温泉街の中心地にあるにもかかわらず、人里離れた山奥にいるようなトリップ感が。湯は若干鉄分も含んでいるため、体を芯から温める作用もバツグン。温泉ソムリエが常駐しているので、体質や美容のお悩みにあった入浴法を提案してもらえるのも嬉しい。
ふもと旅館
熊本県阿蘇郡南小国町満願寺6697
☎0967-44-0918
利用形態:源泉かけ流し
泉質:弱アルカリ性単純温泉
立ち寄り入浴料:¥500(税込み)
宿泊料金:1泊2食¥15000~
STEP3
塩化物泉で肌に潤いをチャージ
仕上げにおすすめなのは、塩分のベールで肌をラッピングできる塩化物泉。汗が蒸発しにくくなるため保湿効果が!
山の宿 新明館「洞窟風呂」
露天風呂としては黒川温泉最古。洞窟風呂は先代の宿主がなんと手掘りで完成させた。山肌をダイナミックに削って作られているため自然のパワーを感じ取れる。
山肌に作られた狭い小道を通り抜け、岩のトンネルをくぐるとそこに現れるのはユニークな洞窟風呂。 自然が生んだスチーマーで究極の保湿トリートメントを。
内部は温泉の湯気がこもっていてミストサウナさながらだ。湯に浸かりながら、顔にも肩にも頭皮にも……塩化物泉のミストをたっぷりと浴びていると、あっという間に全身がしっとり! 乾燥が気になるこのシーズンは、ふわふわした湯気に包まれる幸せをより深く実感できる。女性専用のほか、混浴の岩戸風呂もあるのでカップルで楽しみたい人はトライしてみては?
山の宿 新明館
熊本県阿蘇郡南小国町黒川温泉
☎0967-44-0916
利用形態:源泉かけ流し
泉質:塩化物泉・炭酸水素塩泉・硫酸塩泉
立ち寄り入浴料:¥500(税込み)
宿泊料金:1泊2食¥16000~
※情報は2017年12月現在のもので、温泉の泉質も含めて変更になる場合があります。
宿泊料金は1室2名利用時の1名料金で、特記がない限りサービス料込み・消費税・入湯税別です。
Photo:Mai Kise Text:Chihiro Horie Composition:Shiho Kodama Illustration:Yu Fukagawa
取材協力・温泉監修:おるとくまもと、温泉エッセイスト/跡見学園女子大学非常勤講師・山崎まゆみさん、温泉カメラマン・杉本圭さん、温泉ビューティ研究家・石井宏子さん、くまきゅー、黒川温泉観光旅館協同組合