個性ある食感や風味にシェフのセンスが宿る手打ちパスタ。せっかくなら本場の郷土料理を堪能できるお店を訪れたい。珍しい種類の手打ちパスタはもちろん、手の込んだソースもさすが。そして、なんといってもワインが進む……。イタリアへの愛情たっぷりのシェフが腕を振るう1軒をご紹介。
イタリアの小さな町や村で継承される
手打ちパスタを17種類もラインアップ
Antica Osteria Magicamente
ジャガイモをベースにミントやシナモン、カカオ、カッルーベが香る「チャルソンス ディ ティマウ」(¥1680)。イチジクやレーズンなどのドライフルーツ入りで、ワインにも好相性。
「Magica(魔法)」と「mente(心・精神・思考)」に由来する店名は、“思い描いたイメージのとおり食材を魔法のように変化させる” という思いが込められている。小麦粉からパスタに成形するように、形のないものから手仕事によって作り出される過程はまさに魔法のよう。さらに、食べた人が笑顔になるような魔法、という意味も。
世界のグルメが集まっている東京でも、なかなか出会えないイタリア各地域の郷土色豊かな手打ちパスタが味わえるのがこちらの魅力。優美なデザインの「チャルソンス ディ ティマウ」は、最北端アルプスの麓小さな集落ティマウ村のリストランテに200年以上代々受け継がれるマティス家の門外不出のパスタ。佐藤シェフが実際に現地で習得したレシピを忠実に再現している。 シチリア産の上質な松の実や山のパルミジャーノ、マジョラムを惜し気もなく使用した「クロゼッティ ディ ヴァレーゼ リーグレ」(¥1680)。
表面に美しい模様が施されている円形のパスタ。このスタンプ型を作る職人・ピチェッティ氏が暮らすのが、リグーリア州のアペニン山脈の麓にある小さな町ヴァレーゼ・リーグレ。この地で200年以上の歴史を持つこのパスタは、結婚式にも両家の家紋を象って食されている。 佐藤シェフが現地で購入した貴重な型のコレクションの一部。
スタンプ型は、職人ならではの繊細な模様が細部まで施されている。手前のスタンプ型には、ピチェッティ氏の手書きの文字が。左のすり鉢で、ソースの鍵を握る松の実をつぶす。食材やワインはもちろん、道具にもこだわりがうかがえる。 店内奥の厨房でパスタを盛り付ける佐藤崇行シェフ。
イタリアをこよなく愛するシェフの佐藤崇行氏。「よく知るイタリア料理とはひと味違う、イタリアの小さな町や村の秘境に足を延ばさない限り、食べる事の出来ないイタリア各地域の郷土料理、手打ちパスタをぜひ皆さまにお伝えしたいです」と語る。
2017年には、イタリア半島の中部に位置するサンマリノ共和国大使より、【イタリア料理のレストランの中でも最もおいしいレストラン】として名誉ある認定を受けている。
りんごを食べ、24時間放牧されて育つ豚の肩ロースをおよそ20分かけて薪火で焼き上げる「安曇野放牧豚のオスティア風」(¥3200)。焼く前に、ガルム(魚醤)やニンニクなどでマリネしている。
恵比寿神社近くに佇むアットホームな空間。2月22日には、同じ恵比寿内に移転を予定している。
パスタのサンプル。現地と遜色ないイタリアの体験をぜひ。
アンティカ オステリア マジカメンテ
東京都渋谷区恵比寿西1-13-6 ブラッサムZEN 1F
☎03-5459-5779
営業時間:
ランチ/水12:00~14:00(LO13:30、コースLO12:00)、土日祝12:00~14:30(LO13:30、コースLO12:30)
ディナー/18:00~23:00(LO22:00)、日祝18:00~22:30(LO21:30)
定休日:月
★2月22日オープンの新店舗
マジカメンテ
東京都渋谷区恵比寿3-41-9 1F
☎03-6450-2210(2月14日開通予定)
Photo:sono(bean) Composition:Yui Togawa