『グローバルな学びとインスピレーションのイベント、「TEDxTokyo 2011」が開催』

「TEDxTokyo 2011」の登壇者(同ホームページより)

 今年で3年目を迎える「TEDxTokyo 2011」(テデックス・トーキョー)と呼ばれるイベントが、東京・お台場の日本科学未来館にて、5月21日(土)に開催されました。グローバルな社会的課題に対する最先端のアイディアにについて、30以上ものプレゼンテーション、パフォーマンスが繰り広げられる「TEDxTokyo」の今年テーマは、「Enter the Unknown ~未知への扉~」でした。

 東日本大震災および原子力発電所の事故を受け、日本の復興と再生に現実的に貢献できる創造的なアイディア・発想を共有し、被災者の方々を支援するために、またこれからの未来のあり方について構想するために、国際色豊かな約300名の参加者が集い、議論・交流を行いました。

 登壇者はアーティスト、科学者、ジャーナリスト、ゲームクリエーター、社会起業家等、多種多様な領域で世界的に活躍している人ばかりで、それぞれが6分〜12分の持ち時間の中で、インスピレーション、知恵、共感を惜しみなく共有してくれる構成となっていました。

 総勢100人以上のボランティアスタッフ、また企業からの協賛に支えられ、「TEDxTokyo」は実にプロフェッショナルな企画運営がなされていました。全てのプログラムは日英同時通訳付で、リアルタイムでオンライン動画配信が行われました。編集されたそれぞれのプレゼンテーションはイベント開催日当日の晩には全てがYouTube上にアップロードされ、世界中で何万人もの人にイベントの様子が公開、共有されています。

 例えば、米マサチューセッツ工科大学(MIT)教授でメディアラボ副所長の石井裕教授による情熱的なプレゼンテーションはイベント翌日には既に約4000回近くYouTubeで視聴されています。CNN東京特派員キョン・ラーさんが東日本大震災をどのように伝えたかについて、個人的な体験を交えて語る物語も、多くの人の共感を得ました。

 また、ヨーヨーのワールドチャンピオンでシルク・ドゥ・ソレイユ登録アーティストの実績もあるBLACKさんは、自分が本当に情熱を傾けられるものを見つけ、努力を惜しまなければ不可能なことはない、ということを、抜群のパフォーマンスと併せて語ってくれました。

 その他にも、土壌も農薬も使わない農業の新しい技術や、プラスチックを油に変える油化装置等のプレゼンテーションは、会場中で驚きの声があちこちから挙がっていました。

「極端なまでのオープン性」、「アイディアの力を活かすことで世界を変える」という強い信念

 イベント自体はたった1日の出来事なのですが、数多くのボランティアスタッフによる何ヶ月もの準備、プレゼンター一人ひとりの入念な準備練習、そしてオンラインを通じて世界中で共有されるこれらのアイディアの連鎖は、「TEDx」の大きな特徴と言えます。

 登壇者の一人でもある「TEDx」グローバル・ディレクターのララ・スタイン氏によると、2009年、僅か2年前に始められた「TEDx」は、今では世界中の2,000もの地域で開催され、既に「ムーブメント」として世界各地域の熱心なコミュニティ・メンバーにより日々進化しているとのことでした。

 そしてその根底にあるのが、「TED」キュレーター、このコミュニティを率いるクリス・アンダーソン氏が唱える「極端なまでのオープン性(radical openness)」、そして「アイディアの力を活かすことで世界を変える」という強い信念にある、とのことです。

 「TEDx」の母体となる「TED」(「T」テクノロジー、「E」エンターテイメント、「D」デザインの略)とは、そもそも1984年に小さなサロンとしてアメリカで生まれ、1990年以降米カルフォルニアで年に1回開催されていた一部のエリート経営者、イノベーター向けのカンファレンスでした。2002年にクリス・アンダーソン氏が創業者からリーダーシップを受け継いだ後、大きな飛躍を遂げます。

 2006年6月に「TED」のプレゼンテーションをオンラインで無料公開することに踏み切り、今では約1,000近くもの質の高いプレゼンテーションが世界中で3億回以上視聴される、さながらオンライン大学のようなコミュニティを生み出しています。

 なお、コンテンツは2009年に始められたオープン・トランスレーション・プロジェクトにより、今までに5,000人以上のボランティ翻訳者により、81の言語での閲覧が可能になっています(日本語でも600近いプレゼンテーションが視聴可能です)。フェイスブックページには今や100万人が参加し、継続的なオンライン上のアイディア交換、コラボレーションが行われています。

 「TEDxTokyo」はこうした「極端なまでのオープン性」の文脈の中で、米国以外で開催された初めての「TEDx」で、世界でも先端的な試みとして注目を浴びています。

 グローバルな文脈での日本の存在感が欠けていることを嘆く声が多い中で、こうした試みが行われていることは非常に重要なことであると、私は今年初めて参加の機会を頂き、想いを強くしました。

 また、東日本大震災を契機に日本の復興、未来への挑戦について、グローバルな文脈で議論されている場所、コミュニティがあることは、大きな勇気を与えてくれるものでした。オンラインの動画を見る、翻訳者コミュニティに参加してみる、動画を見てオフィスで、教室で、地域で議論を行う等、様々な形で会話に参加することが可能です。

 近い将来、「TEDx」や「TED」の壇上で、日本発のメッセージを伝える人がもっと増え、震災復興後のビジョンがよりグローバルに共有されることを願っています。

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