美容業界でも数少ない男性編集・美容家の3人が集まって最新コスメをあれこれ語るシリーズ。今回はギフト需要No.1のナチュラル&オーガニックブランド「ロクシタン」のイモーテルシリーズの最新品のほか、ACRO新製品第2弾「イトリン」、最後は「ミノン」から新しく登場するメンズコスメの発表会をご紹介!
俺たちのコスメとは……
化粧品を科学で斬るビューティサイエンティスト・岡部美代治さん、男性美容研究家の藤村岳さんと、美容業界ン十年のFRaU編集部プロデューサーの関龍彦がスキンケアからボディ、フレグランス、メイクアイテムまで、経験と知識をもとに、これからの美容業界までを占う発表会レポートです。
ロクシタンの本気度を見る
イモーテル最新美容液
イモーテル オーバーナイトリセットセラム 30ml ¥8000/ロクシタン(2018年 9月19日発売)
関:オーガニック・コスメって、話題に登り始めた20年前は、「肌には優しいけど、効き目はね……」という見られ方だったけど、それから「ケミカルと同じように効くオーガニックもあるよね」という時期を経て、ついに「オーガニックのほうが、パワフルに効くのでは?」とまで思わせる段階になった気がする。それを象徴的する発表会が2つあったね。
藤村:このオーガニックとサイエンスの関係って、漢方など東洋医学と西洋医学の関係に似ていますよね。アプローチの違いであって、結局、体には何らかの影響を及ぼすという。
関:「L’OCCITANE(ロクシタン)」の新製品発表会は、ロクシタン初の夜用美容液でした。「眠っている間に肌をリセットする」という「イモーテル オーバーナイトリセットセラム」。
岡部:ロクシタン初の夜用美容液というのは正直、驚きました。すでにあると思っていたので。
関:確かに。この美容液は、イモーテルエッセンシャルオイル、キバナオランダセンニチエキス、マジョラムエキスなどが配合されているんだけど、ユニークなのは、その配合方法。セラム:オイル=9:1のバランスになっていて、塗布時にオイルカプセルがはじけ、2つのテクスチャーがひとつになり、肌に浸透していくシステム。元来の植物由来の力に、こういったテクノロジーの力が掛け算されたコスメは、そりゃ強いよね! 使ってみると、確かにカプセルがはじけて、肌にぐいぐい入っていく頼もしい感じがある。
岡部:このシリーズはコルシカ島自生のハーブ、イモーテルをとことん掘り下げた研究の本気度を感じるし、次々と機能性が発見され、イモーテル(不死の)という植物名の神秘性に惹かれてしまいます。
関:お!!! イモーテルってそういう意味があったのか。
岡部:こだわりの成分を追求し続けるのも商品の進化に貢献しているひとつの成功事例と思っています。五感が調和する香り、なめらかな後肌の触感も「さすがロクシタン!」と思う技術力でした。
藤村:ハンドクリームなどで知られる「シア」と並んで、アイコンとなった「イモーテル」。高価だけど、人気がある理由がわかります。だって、すごくいいから。
関:エイジングケアシリーズだから、すべてにおいて「リッチ」な印象があるけど、時代のニーズに合わせてうまく作ったなぁという印象。
藤村:テクスチャーが気に入りました。スルスルっと入っていって、ほかの製品の邪魔をしないのは、よく研究されていますね。
演者無し!
でも、心憎い演出が嬉しかったり
藤村:発表会のナレーションが別所哲也さんというのを最後に語られたのもサプライズでしたね。ま、途中で気づいていましたが。
関:え? 気づいていたの?(笑)
岡部:演者が出ないで、ほとんどがテレビのドキュメント風映像で落ち着いた語りのナレーションだったのが新鮮でしたね。PRマネージャーの石井利代子さんも一流コメンテーターの様だったし。私は別所さんというのは最後に知り、なるほどと納得しました。
関:以前、舞台俳優を起用した発表会があったのを覚えてる? あれもユニークだったね。それにしてもナレーションに一流俳優を起用するなんて、憎い演出。
オーガニック新ブランド「ITRIM」
オーガニックスキンケアの
本気度を語る
関:絶好調の「THREE(スリー)」を展開しているACRO社が、ますます飛ぶ鳥を落とす勢いになってるね! Rumikoさんをクリエイティブ・ディレクターに迎えたメイクアップブランド「Amplitude(アンプリチュード)」を発表したその1週間後、このスキンケアブランド「ITRIM(イトリン)」を発表。近々メンズブランドの発表もあるというから、ビックリです!
藤村:漏れ聞こえてきたウワサによると、相当スゴイらしいですよ、メンズ。まあ、今回はそれよりイトリン。オーガニックのというか、植物ってこんなにパワフルなんだと実感できる、ものすごいブランドです。 フェイス、ボディ、ヘア、コットンの全12品デビュー。¥1000~¥38000/ITRIM(2018年 9月1日発売)
関:イトリンは今あるオーガニックブランドと一線を画す “ラグジュアリー・オーガニック” という新しいカテゴリーに踏み込んだブランドなんだと思う。まずは、フェイス、ボディ、ヘアケアの全12品からスタート。ヘマトコッカス藻の天然の色を活かしたという、鮮やかなルビーの枠練り石鹸の価格が何と1万円! 石橋会長のこだわりを随所に感じたなー。
藤村:会長、シャンプーを絶賛されていましたね。「使ってみたい!」けれどシャンプーで1万円、コンディショナーで8000円なので、ちょっと躊躇してたりもして(笑)。
関:香りは想像以上に強さがあり、好き嫌いは分かれるかもしれない、と思ったけど、どうだった?
藤村:日本を撤退してしまった「ORIGINS(オリジンズ)」のDr.アンドルー・ワイルシリーズのローションの香りに似ていませんか? ボクはあれを思い出したんですよね。深い森の香りみたいな。
どこまで叶えてくれる?
新製品を早速、お試し
関:「輪郭まで変える」というこのラインアップ、どこまでパワーのあるオーガニックなのか、自分の肌で試すのが楽しみ。
藤村:乳液やクリームなど保湿系アイテムでパワーを感じるのはまあ普通ですが、洗顔やクレンジングなど落としものだけで、それを感じられるのは今までにないと思います。
関:さっきも話していたシャンコンの期待も高いよね。石橋会長の髪が前よりも黒く、ふさふさした感じに見えたじゃない? 今、ヘアケア剤の深刻な問題って白髪問題でしょ。髪を染めるのではなく、黒髪が生えるっていうのは画期的。これ、使ってみたいな~。
岡部:THREEの成功から次へのチャレンジ、楽しみなブランドですね。機会があったらテスティングしてみます。
関:第3弾となるメンズコスメも期待大、楽しみ。
「使いたい!」女性ライターの声続出
あのミノンからメンズコスメが登場
洗顔、化粧水、乳液、美容液の4品がデビュー。ミノン メン 全4品 ¥1500~¥1800(編集部調べ)/第一三共ヘルスケア(2018年 9月5日発売)
大島優子と坂口健太郎のテレビCFで認知力が上がった「MINON(ミノン)」。“男性向け敏感肌用スキンケア” という、これも新たなジャンルに挑戦した「ミノン メン」の発表会があったね。
藤村:これ、招待状が届いてからずっと楽しみにしていました。
関:「男の肌はガサガサしてる」「脂っぽい」とか、十把一絡げに扱われていて、男ならではの弱点に個々に真剣に向かい合ったコスメは、確かにあまり無かったかも。
岡部:実は、男性の肌は毛穴も大きく、肌も荒れていて、「男性の肌は敏感」というのは研究所時代から知っていました。男性は女性よりも化粧品をピリピリと刺激に感じる人が多いんですよね。だから今回、男性の敏感肌実態のデータを基に開発されたというのは腑に落ちました。
関:へぇ~。
藤村:同社の調査によるとなんと51%の男性が「自分は敏感肌だ」と認識している結果が出たのだとか。でも、実は女性と違ってシェービングで敏感になりがちなんですよ。
関:「ヘアケアもスキンケアもスースーさせときゃいいんだろ!」的な安易なものも多い! 僕はメンズのスースーものは疑ってかかるね!
藤村:ステレオタイプなモノ作り反対!
男性編集者必見!
発表会ではショートエステも体験
関:発表会では、このラインを使ったショートエステも体験したよ。施術前40%だった水分は84%までアップ! 嬉しかった! ただ、「フェイスウォッシュ」の洗顔後の泡切れが良くないことだけ残念だったかな。ほかのものは良かったけど。
岡部:僕もショートエステを体験しました。数字はメモしていなかったけど、施術前より油分は減少し、水分がアップしたのは嬉しかったけど、本当はエステして翌日の肌を測らないと効果はわからないですね。演出としては理解できますけど、即時効果よりも継続使用による肌効果を地道に訴求することを期待します。
藤村:どれも使いやすいのですが、洗顔は特筆もの。これは敏感肌に優しい。あまりの出来のよさに感動し、(別の媒体ですが)男の敏感肌の特集を思いついて、今、執筆中です。
関:意外だったのが、女性ライターや編集者の「私たちも使いたい」という声。担当してくれた方に聞いてみたけど、もちろん女性でも使用可。メンズコスメとうたっているけど、蓋を開けたら夫婦やカップルで使用しているなんて声が聞こえてくるかもね。
ロクシタン
https://jp.loccitane.com/
ITRIM
https://www.itrimbeauty.com
ミノン メン(第一三共ヘルスケア)
https://www.daiichisankyo-hc.co.jp/
PROFILE
岡部美代治 Miyoji Okabe
ビューティサイエンティスト。(株)コーセーの研究所を経て(株)アルビオンにて商品開発、マーケティングなどを担当。2008年独立し、現在は美容コンサルタントとして活動。商品開発、美容教育アドバイスなどを行うほか、講演・セミナーの依頼や雑誌取材なども多い。
藤村岳 Gaku Fujimura
男性美容研究家。編集者を経て独立。シェービングを中心に独自の理論を打ち立て、男性美容のパイオニアとして活動。テレビ出演のほか、講演、コスメ開発やマーケティングなども行う。スパ・エステについても造詣が深い。著書に『一流の男はなぜ爪を手入れするのか?』がある。サイトは、男性美容研究所。男性美容研究所:http://danbiken.net/
関龍彦 Tatsuhiko Seki
FRaUプロデューサー。講談社入社後、『ViVi』『FRaU』の編集者を経て『VOCE』創刊のため新雑誌準備室へ。2004年より6年間、同誌編集長。2010年より4年間、『FRaU』編集長。2018年より現職。ビューティ界の新サービス「BE-BANK」エグゼクティブ・プロデューサーも務める。
Illustration:YUGO. Composition:Mayumi Hasegawa