『妻のトリセツ』を結婚式の引き出物に選んだ、ある新婚夫婦の物語

デジタル時代のアナログな広がり

結婚式の引出物に

<女性は解決策ではなく、共感を求めている>

<プレゼントに“ものがたり”を欲しがるのが女性脳>

妻への愛し方をこじらせてしまった夫のためのこんな「処方せん」が説かれているベストセラーが、黒川伊保子編著『妻のトリセツ』だ。

理不尽な妻との上手な付き合い方を、脳科学の分野から解説していくこの本は、現在までに26万部以上を売り上げている。

「男性の女性を怒らせる会話あるある」、「女性の男性への攻めクチあるある」など、具体的かつ説得力あるサンプル満載の内容と役に立つ対処法に、読者からの反響も大きく、最近ではテレビや雑誌などでも数多く取り上げられている。

この本を結婚式の引き出物に選んだカップルが、いま話題だ。

事の発端は熊本県。最初に異変に気づいたのは本書の版元である講談社販売部。配本や売れ行きのチェックなどのために、全国の書店の売上数字をチェックしていたところ、熊本県内で『妻のトリセツ』が異常値とも言える売れ行きを示していた。

 

いくつかの書店を調査し、書店スタッフに話を聞いてみるとこんな話だった。

熊本市で司法関係の仕事をしている小沢裕子さん(仮名)は、今年の2月に執り行われた自身の結婚式で、『妻のトリセツ』を引き出物として参列者にプレゼントするために購入していたのだ。

そもそものきっかけは本書を読んだ父親が、結婚間近の娘を気遣い、勧めたことがはじまりだという。

「自分たちに当てはまることも多く、おもしろくてとても参考になりました。結婚披露宴というあらたまった席には刺激的なタイトルの書籍かなとも感じましたが、わたしたち夫婦のオリジナリティとちょっとした遊び心で、ふたりで相談して思いきって引き出物にすることに決めました」(小沢さん)

だが、それからがたいへんだった。『妻のトリセツ』を引き出物にしようと決めたのが、結婚式のわずか1週間前。引き出物の数は200あまり。

ひとつの書店ではなかなか揃えられる冊数ではない。熊本県内の書店を探し回り、本書をかき集めた。ふたりが最初に訪れたのは蔦屋書店熊本三年坂店だ。

「130部ほどをご用意させていただきました。お歳暮やご贈答などで50冊ほどの注文をいただくことはあるのですが、結婚式の引き出物でお使いになるというのは初めてのことでした。

男女のすれ違いと解決法をテーマにした内容で大ヒットしていますが、結婚式でこの本を配るのか、それは同じ女性としてかなり攻めてるなと、正直驚きました(笑)」(蔦屋書店熊本三年坂店・椛山ひさ子さん)

こうして少ない準備期間にもかかわらず、県内の他書店や出版社にまで電話をして、なんとか式当日に間に合わせた。その甲斐もあり、披露宴のゲストの方の反応は上々だったという。

「お配りした途端にのぞき込んで爆笑なさる方もいらっしゃいましたし、二次会までの空き時間に読破して、よろこびやからかいの声をかけてきてくれる友人などもいました。おかげさまで、自分たちらしい結婚披露宴ができたかなと感じました」(小沢さん)