――ギクリとするタイトルですが、松下さんは、身近に、「遺骨を食べてしまうかもしれない」と思う人はいますか?

松下:それは、台本を読んだ時に、私も考えました。自分の両親なら、「その存在を、ちゃんと自分の中に残したい」という思いがありますので、遺骨を舐めるぐらいはすると思います。そうすることで、自分の中に取り込めたと、一瞬でも思えるなら。実際、最愛の人を失った時に、自分がどうなるかは、想像できないですね。

 
――この映画を通じて、松下さんがあらためてご両親との関係性に思いを馳せたように、違う人の人生を演じることによって、影響を受けたりすることは多々あると思います。それもまた、俳優としての醍醐味だったりするんでしょうか?

松下:そうですね。役を通じて感じたことは、今後自分が生きていく中での、経験値の一つになっていると思います。“他の人になる仕事” って、世界中探しても、俳優以外にはないと思います。大変で難しいことも多いけれど、それを受け止めた中で、役と一緒に歩いていける。やりがいのある仕事だと思っています。

――ところで、今、『ゲゲゲの女房』以来、9年ぶりに朝ドラにもご出演されていますが、演じながら、ご自身の変化を実感することはありますか?

松下:女優を始めた時から数えると、もう15〜16年ぐらい経つんですが、演じることって、以前80点だったものが、経験を積んだからといって100点になるものではない。でもだから面白いんです。役との向き合い方とか、現場での居方のようなものは、ある程度経験しないとわからない部分がありますが、うまくなっているか、成長しているかは、自分ではわかりません。

ただ、変化があるとしたら、9年前よりは、難しく考えなくなりました。自然体の自分で役に入っていく事や、起きたことを楽しめる。そういうことはあります。きっと、悩みや緊張をパワーにしていく術は、身についたのかなと思います。

 
――今回、松下さんはBEGINさんが書き下ろした主題歌『君の歌はワルツ』の、コーラスとピアノにも参加しています。

松下:BEGINさんの歌声が、ストレートでシンプルで、優しくて。言葉がすごく心に刺さる、素敵な曲なんです。だからエンドロールで、また泣けてしまう。映画に込められたメッセージが、全て集約されるエンディングになっていると思います。

レコーディングは、ほぼ一発録りでした。「もう終わりですか?」と伺ったら、「これでいいのかな?ぐらいがちょうどいいんです」と音楽監督の大友良英さんがおっしゃっていて(笑)。映画を観終わった後に、じんわりきます。

ああああああああ