ブラジルレアル、トルコリラ…高金利通貨なのに大損するのはなぜか?

いい話にはウラがある
福田 猛 プロフィール

実質金利で見る!

インフレ率は物価の変動率のことです。インフレ率は通貨の価格変動に大きな影響を与えます。

〔photo〕iStock

例えば、インフレ率5%、金利10%のケースを考えてみましょう(期間1年)。この場合100万円の軽自動車を買うために、1年間我慢して100万円の定期預金をすると、1年後はどうなっているでしょうか。

1年後には100万円が110万円に増えていますね(金利10%)。でも同時に買おうと思っていた軽自動車は100万円から105万円へ値上がりしています(インフレ率5%)。

1年後に定期預金110万円だけど、狙っていた軽自動車は105万円に値上がり……金利収入と軽自動車の値上がりを考えると、金利収入で「+10万円」の利益、軽自動車の値上りで「▲5万円」の損、差し引き「+5万円」の得ということになります。

 

この考え方を「実質金利」と呼びます。

実質金利=名目金利ーインフレ率(物価上昇率)という考え方です。今の例だと、名目金利(預金金利)10%、インフレ率5%だから実質金利5%になります。10%の金利収入を5%の物価上昇で一部相殺してしまうから、差し引き手元には5%分の利益が残るという意味です。

別の例を考えてみましょう。

インフレ率5%の国で預金金利(名目金利)が1%なら、あなたは預金をしますか?

インフレ率5%で名目金利1%、つまり実質金利▲4%。預金をすればするほど、預金者は損をしてしまいます!

少なくとも実質金利がゼロ以上でないと誰も預金をしません。そして物価が不安定になればなるほど、表面的な金利を高くしないと誰も預金をしてくれない、ということになります。

インフレ率が高い新興国では、名目金利が高くなる傾向がありますが、それには今説明したような理由があります。したがって、異なる国の金利を比較する時は、実質金利で見ないと意味がないといえます。

そして図表4が示す通り、一見金利が高いように見える新興国でも、インフレ率を考慮した「実質金利」では実はそれほど高くないケースが多く、注意が必要なのです。

(図表4)トルコとアメリカの実質金利(10年国債利回り-消費者物価上昇率)はイメージほど大きな差がない

拡大画像表示Bloombergデータよりファイナンシャルスタンダード作成

高金利通貨が魅力的と感じていた投資家にこのような説明をすると、目の色が変わります。そして、実質金利を比較してみると「あまり変わらない」とか「リスクに見合った金利ではない」といったイメージに変化することが多いのです。

一見して高金利だからとすぐに飛びついて損をしてしまう人たちには、この実質金利の視点が欠けているのです。高金利通貨への投資を考えている人は、まずは一度こうした冷静な視点でその通貨の「本当の価値」を考えてみることをおススメします。