がんを克服した医師がみずから実践している「素朴な食事術」を明かす
簡単にできる、ポイントは空腹時間舌がんは口内炎に似ていて、見過ごされやすい
ステージ4の舌がんを患い、舌の6割を切除する手術をうけた堀ちえみさん。術後の経過は順調なようで、ひとまず安心ですが、医師としても一ファンとしても、この苦境を乗り越えられるよう願い、応援いたします。

堀さんもそうでしたが、舌がんは症状や形態が口内炎と似ているため見過ごされることが多く、また進行が速いため、診断がついた時点でステージが進行していることが非常に多いがんです。
私も40歳のときに舌がんを患いました。幸いにしてステージ1の早期で発見できたのは、医師として舌がんの知識があったからですが、当時私には幼稚園に通う二人の娘がおり、妻のお腹の中にはもう一人の子どもを授かっており、何としても生き抜かなければなりません。死ぬわけにはいかなかったのです。
手術では舌の左側の4分の1を切除しました。
手術で病変を切除したら、5年、10年と再発していないか経過観察となります。手術は成功しましたが、40歳という若さで罹患してしまったので、舌がんの再発や他のがんにも罹患するのではないかと不安な日々を過ごすことになりました。
この不安感をどうにか払拭するため、私は「どうしたらがんの再発、新たながんの発症を防ぐことができるか?」をテーマに研究を始めました。
医学論文が教えるがん予防に大切な「2つのこと」
自分の命がかかっているから、それは必死です。
私たち医師は、臨床医学の疑問が生じたとき、PubMed(アメリカ国立衛生研究所のアメリカ国立医学図書館)で医学論文にあたることから始めます。まずは、”cancer prevention(がん予防)” をキーワードにヒットする論文を片っ端から読み始め、あることに気づきました。
ヒトががんを発症する主な原因は、「①細胞の質の劣化」と、「②免疫力の低下(NK細胞(ナチュラルキラー細胞)の活性の低下)」です。個人差はありますが、人体では毎日5000個程度の質の劣化した細胞が”がん細胞”に変化しています。それががんの塊として増殖してこないのは、NK細胞が”がん細胞”を発見しては殺傷しているからなのです。
よって、がん予防をするためには、「①細胞の質の劣化を食い止め、細胞のがん化をできるだけ少なくする」ことと、「②NK細胞の活性を上昇させる」ことが大切となります。
これと同じことが、身近な風邪にも言えます。
私は舌がんに罹患した40歳当時、月に1回は風邪をひいていました。風邪を発症するのは、ウイルスに感染した咽頭粘膜のウイルス感染細胞をNK細胞が殺傷できないからです。つまり風邪をよく引くということは、NK細胞の活性が弱いことを意味しており、その体質を改善できれば、同時にがんの再発を防ぐ可能性も高くなるのです。