美容業界でも数少ない男性編集・美容家の3人が集まって最新コスメをあれこれ語る「俺たちのコスメ」がスタートして早半年。さまざまな工夫を凝らし、もてなしてくれるコスメ発表会を斬るという大胆企画! “ベスコス” ならぬ、“ベスト発表会” を2回にわけて紹介します。

「今年、印象に残った発表会は?」「こんな見せ方あったよね」など、新作コスメの紹介だけじゃない、化粧品業界の裏のウラをご紹介。業界人はもちろん、コスメ好きの皆さんも必読です。

俺たちのコスメとは……
化粧品を科学で斬るビューティサイエンティスト・岡部美代治さん、男性美容研究家の藤村岳さんと、美容業界ン十年のFRaUプロデューサーの関龍彦がスキンケアからボディ、フレグランス、メイクアイテムまで、経験と知識をもとに、これからの美容業界までを占う発表会レポートです。

3人がそれぞれが選んだ
「2018年ベスト発表会」
第3位からカウントダウン!

藤村岳さんが選ぶ、2018年べスト発表会 第3位
「ちょうどいい」のバランスが秀逸
メルヴィータのヘアケア発表会

――今回、FRaUではいつもの発表会レポートではなく、2週にわたり “ベスコス” ならぬ、ベスト発表会をカウントダウンで紹介します。たくさんの発表会に出席されたと思いますが、会場、プレゼン力、製品、その他演出など、印象に残った発表会を教えていただけますか? まずは3位から。

藤村:僕の第3位は「Melvita(メルヴィータ)」の「インディゴオイル」の発表会。こぢんまりしているんですけど、きちんとメッセージが伝わってきました。入り口からの展示、発表の内容と長さもちょうどいい。この「ちょうどいい」って、なかなか難しいですよね。
 

デトックス力バツグン! インディゴオイルのパワー

【俺たちのコスメ vol.12】メルヴィータもエストも、その植物パワー、ハンパなし!

frau.tokyo

 
:メルヴィータのプレゼン力は毎回、スゴイなーって感じる。ほんと、練られてるよね。

岡部:インディゴがオイル成分になる展示パネルがわかりやすかったですね。サイエンティストにはそこはキモですから(笑)、見逃せません。

:キーとなる「インディゴ」がしっかりインプットされる、いい会でしたよね。お土産のデニムバッグ、その後も使ってます!

 
岡部美代治さんが選ぶ、2018年べスト発表会 第3位
ローズ ド マラケシュがランクイン!
その理由は?

岡部:私は「ROSE DE MARRAKECH(ローズ ド マラケシュ)」の「ローズ リクイド」(オイルジェル美容液)の発表会を挙げました。いつも自社内の会場で開かれるのですが、そこはモロッコ美容を語らせたら誰にも負けない、ブランド創設者の板橋マサ江さんのトークが楽しみです。特に今回は、10年にわたるモロッコとの出合いから現在までのストーリーがドラマチックで印象的でした。

 
――会場選びは発表会の大事な要素でもありますが、自社を会場に使うという発表会はここ数年で増えていますよね。

:製品力に自信のあるプレゼンをじっくり聞く発表会の場合、いいですよね。自社とはいえ、撮影スポットのことを考えたディスプレイなどで工夫されているし。

岡部:筋金入りのモロッコ愛が感触や香りなど品質へのこだわりとして感じられます。また、モロッコ女性の自立のための支援もしっかりしているし、本気度がわかることからも人気の要素だと思います。

藤村:板橋さんのモロッコ人のようなドレス姿も拝めましたし(笑)。

 
関龍彦が選ぶ、2018年べスト発表会 第3位
レモンサワーが売り切れた!?
メンズコスメ発表会は小ネタ満載

:僕の3位はメンズスキンケアブランドの「BOTCHAN(ボッチャン)」。夜に新宿ゴールデン街のレモンサワー専門バー、昼に原宿のハンバーガー専門店で行うという “やんちゃっぷり” が良かったよね! 男性向け、ということでなく、ジェンダーを超えたモノづくりにも共感できました。
 

“繊細系男子” 向けコスメが2018年 2月にデビュー

【俺たちのコスメvol.3】メンズコスメの明日を占う「BOTCHAN」

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――招待されたのは男性編集者が多かったようですが……。

藤村:「FIVEISM × THREE(ファイブイズム × スリー)」もかなりセグメントした発表会でしたよ。誰に伝えたいかによってメーカー側が絞り込むのは当然ですね。

岡部:私はBOCHANの発表会に行けなかったのですが、その後でオフイスへキャラバンに来ていただき、ブランド哲学から製品説明までみっちり説明してもらい理解できました。やはり「なぜその製品をつくったのか」理解できると、(製品が)より輝いて見えます。デザインは今までにないポップさで、「オーバー・ザ・ジェンダー」です。

 
――会場の雰囲気と製品の展示の仕方が上手でしたね。でも狭かった!

藤村:ここだけではないですが、雰囲気重視とはいえ、狭い場所は導線をしっかり確保しないと立ち往生して閉口することも。でも、同じアイテムやブランドで日時、場所を変えて発表するというのは新しい試みです。

NEXT≫「第2位を発表!」

藤村岳さんが選ぶ、2018年べスト発表会 第2位
遠方の会場でもやる意味はある!
SHISEIDOの気合いが見えた発表会

藤村:練られた仕掛けといえば、新生「SHISEIDO(資生堂)」のお披露目はすごかった。これが第2位ですね。

:ものスゴい人だったよね。読んでくれている人に補足すると、場所が東雲だったんだよね〜。編集、ライター、モデル、インフルエンサーなどがごった返していたっけ。

藤村:あの会には決意を感じられました。製品もしっかり見られたし、パーティーも楽しかったし。遠くて行きにくかったけど、あの会場でないとできないことというのがわかったのでOK!

:ファッションブランドのパーティーも遠い大箱会場のことが多いんだよね〜。慣れてるから僕もOKかな(笑)。

岡部:4つのテクスチャーを4つのボックスで五感で感じる仕掛けは楽しかったし、きれいでしたね。そのあとで製品を触ると、技術のこだわりが伝わりました。ボックス内でインスタ映えする写真を皆が撮っていたのも情報伝搬力を感じました。
 

SHISEIDO エッセンシャリスト アイパレット(全8種)¥4000/資生堂インターナショナル

 
――発表会も話題になっていましたけど、売り上げも好調らしいですね。

藤村:「エッセンシャリスト アイパレット」が印象に残っていますね。どれもモードな色出しで、とてもお洒落。トレンドの目元がすぐに作れます。あと、名前が「Miyuki Street Nudes」とか「Hanatsubaki Street Nightlife」とか、通りの名前と仕上がりや目的が組み合わさっているのがおもしろかった!

 
岡部美代治さんが選ぶ、2018年べスト発表会 第2位
実験型ラグジュアリー発表会が新鮮!?
エストの発表会がランクイン

岡部:私の2位は「est(エスト)」の「エスト ザ クリーム TR」。月下香のエキスの開発ストーリーを研究者が気持ちを込めて話すのは印象に強く残りましたね。シワがよりやすくなるメカニズムをモデル皮膚で試したり、テクスチャーへのこだわりを聞いて試したり、新製品を堪能できました。

藤村:ああ、エストもよく覚えています。花王の発表会はどれも実験型なのがいいですよね。
 

希少性の高い月下香のエキスを配合したクリームを紹介

【俺たちのコスメ vol.12】メルヴィータもエストも、その植物パワー、ハンパなし!

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――今回は実験を交えながらのプレゼンもありましたが、いつもより一線を画したラグジュアリーな発表会だったとか。

藤村:確かに、ザ・リッツ・カールトン 東京のバンケットルームで、照明を落としてプレゼンされると……いつもとは全然、雰囲気が違っていましたね。

:成分からメカニズムに至るまで、説得力のある、いかにも花王らしいプレゼンテーション!

岡部:難しくなりがちなテクノロジーをスライドやモデルツールでわかりやすく翻訳している努力はすごいと思っています。今回は表皮の表面の硬さによりシワができるという皮膚モデルが気に入っています。きっと、このような引き出しが豊富なのでしょう。

 
関龍彦が選ぶ、2018年べスト発表会 第2位
「周年」はやはり強し!
SUQQU 15周年発表会

:僕の2位は、「SUQQU(スック)」の15周年記念発表会です。新色も、周年記念限定アイテムもどちらも手を抜かず使いやすいカラーをラインアップ。それらを展示している会場の雰囲気も仰々しいアニバーサリー感はなく、爽やかで、皆、楽しそうにアイテムに手を出していました。
 

ベスコス候補の新リクイド アイシャドウに注目!

【俺たちのコスメvol.9】海外でも大人気のSUQQUほか、秋冬カラーメイク満開!

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――ファンデーション、メイク、限定アイテムなど、各製品のプレゼンテーションルームがわかりやすかったですね。いつもはタッチアップコーナーもスルーされがちですが、多くの来場者が試していった印象です。

藤村:ミニサイズのリップスティックの完成度が高くて、感心しました。

岡部:プレゼンテーションに気をとられタッチアップはしなかった。限定アイテムの中でも「スワロフスキー クリスタルチャーム」は印象的でした。また、「デザイニング カラー アイズ」の日本の四季の情景を現した写真パネルもよかったですね。

:ディスプレイを見る→タッチアップコーナーで試す、という導線が上手だったのかな。そうしたくなるような。

 
――3位、2位のブランドの発表会を聞くと、「会場」「空間づくり」がひとつのキーワードになりそうですね。

:僕らは、ひとつの化粧品というミクロな世界でなく、空間も含めたマクロな世界でインプットされますからね。

藤村:ブランドと会場の親和性ってやはり必要ですよね。ラグジュアリーなところはそれなりの空間だと安心するし、カジュアルなブランドならポップで元気であって欲しい。いい意味で裏切られるのは印象に残るけど、マッチしないとイタいだけだから難しい。

岡部:製品の開発背景と関連性のある場所だったり、会場演出ができる空間は重要ですね。でも、落ち着いて聞ける場所であればプレゼンに集中できるので、社内会議室でもよいと思います。要は、「なぜその場所で開いたのか」が納得できることですね。

NEXT≫「第1位の発表の前に……」

第1位の発表の前に番外編
印象に残った「変わりダネ発表会」

――1位の発表会の前にその他の発表会についても聞いてみたいですね。ベストでは無かったけど、おもしろかった、または印象に残った発表会はありましたか?

藤村:ボクは「DE LA MER(ドゥ・ラ・メール)」ですね。ワールド オーシャン デイに合わせた期間限定のアイテムで新製品じゃないのに、すごく鮮明に覚えています。これを水族館で、しかもイルカショーを見ながらというのはインパクトがありました。
 

さすがドゥ・ラ・メールというゴージャスさ!

【俺たちのコスメ vol.10】絵画、自販機、イルカまで⁉︎ ユニーク演出がキラリ光る発表会

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:海を大事にしているブランドらしい演出だね。イルカショー、見たかったな〜!

岡部:私も行っていないけど、海とイルカの連携はさすがですね。
 

岡部:私は六本木ヒルズで開かれた「THE WORLD OF ANNA SUI」展のレセプションパーティーです。今回は20周年ということでアナ・スイ本人も出席してのスピーチも印象的でした。こうやって歴史を一気に見るのも、あらためてブランドのすごさが解りますね。ほかにも周年という区切りで発表会やイベントを開いたのが多かった気がします。いずれもブランドとは何か、商品は今後どう展開するのか考えるとワクワクしますね。

:会場にはコスメはもちろん、服や小物も多数展示されていて、アナ スイの世界感がギュギュッと詰め込まれている印象でした。

藤村:SNSで見かけましたが、皆さん、楽しそうでしたね。

 
――SNSを意識した発表会にシフトしていますね。「モノ」はもちろん、体験する「コト」にも重きをおいているような気がしますが、いかがでしょうか。

:「俺コス」でレポートした「NARS(ナーズ)」の自販機の記事、おかげさまでFRaUのSNSでハネました!(笑)。

藤村:そういえば「JO MALONE LONDON (ジョー マローン ロンドン)」でクレーンゲームやったなぁ。あれ、燃えました!
 

:僕の変わりダネ発表会は、「SUNSTAR(サンスター)」の「EQUITANCE(エクイタンス)」ですね。川島眞先生(現在は、東京女子医科大学 名誉教授)が登壇した第1部があり、昼食を挟んでから第2部の製品プレゼンテーションに入るという、今期もっとも “みっちり” した発表会。「光老化」について、かな〜り詳しくなれたと思う(笑)。
 

2018年の注目キーワード「光老化」を学ぶ

【俺たちのコスメvol.3】メンズコスメの明日を占う「BOTCHAN」

frau.tokyo

 
岡部:川島先生は発表会に呼ばれたゲストスピーカーとして秀逸でした。なぜ、ここに呼ばれたのか明確に理解されており、本当に化粧品業界の為にアグレッシブに応援してくれています。「シワ改善」の医薬部外品は川島先生抜きにはあり得なかったはずです。

:振り返ってみると、半年の間にいろんな発表会があったんだね! こうして思い出せるというのは、言ってみれば成功した発表会。正直、行ったことを忘れてしまうものもあるからね。ベスト発表会企画、続編をお待ちください!

 
次週(10月26日更新)は、第1位と変わりネタ発表会、さらに「こんな発表会が良い・悪い」などをご紹介! お楽しみに。

PROFILE

岡部美代治 Miyoji Okabe
ビューティサイエンティスト。(株)コーセーの研究所を経て(株)アルビオンにて商品開発、マーケティングなどを担当。2008年独立し、現在は美容コンサルタントとして活動。商品開発、美容教育アドバイスなどを行うほか、講演・セミナーの依頼や雑誌取材なども多い。

藤村岳 Gaku Fujimura
男性美容研究家。編集者を経て独立。シェービングを中心に独自の理論を打ち立て、男性美容のパイオニアとして活動。テレビ出演のほか、講演、コスメ開発やマーケティングなども行う。スパ・エステについても造詣が深い。著書に『一流の男はなぜ爪を手入れするのか?』がある。サイトは、男性美容研究所。男性美容研究所:http://danbiken.net/

関龍彦 Tatsuhiko Seki
FRaU プロデューサー。講談社入社後、『ViVi』『FRaU』の編集者を経て『VOCE』創刊のため新雑誌準備室へ。2004年より6年間、同誌編集長。2010年より4年間、『FRaU』編集長。2018年より現職。ビューティ界の新サービス「BE-BANK」エグゼクティブ・プロデューサーも務める。

 
Illustration:YUGO. Composition:Mayumi Hasegawa

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