映画『殺(や)る女』で、“絶対にミスしない殺し屋” 愛子を演じた知英さん。2014年に日本を拠点に女優としての活動を本格的にスタートさせた彼女の仕事に対する向上心は並ではない。知英さんのエネルギーの源はどこにあるのだろう?

 
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一人日本で頑張ってみようと決めた、
そのことが今の私の原動力

――日本に来てからわずか4年の間に、いろんな作品に出演されていますが、どういうときに、女優になってよかったと思いますか?

知英:私は中学生のときに、KARAというアイドルグループに所属して以来、ずっと芸能のお仕事に携わってきました。だから、普通の人ができないことをいろいろ体験しているかもしれません。

女優は、ありふれた日常もありえない設定も、本当にさまざまな人の人生を生きられる。それが楽しいです。キャラクターが立っている役ばかりじゃないけれど、一見、普通に見える子でも、家族構成や育った環境、経験などによって、その役の個性が浮き彫りになる。自分の想像力、イメージを膨らませながら、自分と違う人間になることは、毎回新鮮な体験です。

 
――自分のキャラクターから遠ければ遠いほどワクワクする?

知英:もちろんそういう時もあります。でも、今年公開された映画『私の人生なのに』では、私は新体操の選手の役をやったんですが、その子も、突然事故に遭って、新体操ができなくなるんです。もちろん、私は事故に遭って夢を諦めた経験はありませんが、親からの愛や友達の励ましに支えられていたところは、「ああ、みんな一緒なんだな」って思えて、嬉しかった。

たった一つの台詞で、「この子も私と同じだ」って実感できるような役を演じられたことも、とても幸福な経験でした。だから両方好きです。まったく違う世界に飛び込んで、想像をめぐらすもの、自分に近い、普通の女性を演じて感情を共有できるのも、両方。

『殺る女』の中に、自分の感情を爆発させるシーンがあるんですが、そこは、台本にはとくに “号泣する” とか “感情を爆発させる” とかは書いてなかったんです。でも、現場で監督に、「ここで愛子は初めて自分と向き合うんだから、感情を爆発させてもいいんじゃないでしょうか」って提案したら、「いいと思うよ」って言っていただけて。そのこともすごく嬉しかった。結局のところ、もの作りに参加している感覚が好きなんだと思います。
 

――日常ではありえないシチュエーションを、映画なら体験できることも快感なんでしょうか?

知英:新しい自分に出会えたときの快感だと思います。見てくださる方の感想はそれぞれですけど、私は、自分が演じた愛子はそんなに悪くなかったと思いますよ。ふふ。私は、愛子というキャラクターがすごく好きです。

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――知英さんが故郷を離れて、女優として日本で頑張る、そのエネルギーの源はどこにあるんでしょう?

知英:難しい質問ですね。実は、その質問があると事前に伺っていたので、昨日色々考えたんです。何が私をここまで来させてくれたのか。強くなりたいとか、うまくなりたいとか、ファンの期待に応えたいとか、思い当たる理由はいくつもあります。でも、結論としては、一つに決めなくてもいいのかなって(笑)。

一瞬一瞬を頑張って生きれば、次にステップアップできる。あとはやっぱり、一人で日本にいることが、まさに私の原動力になっているんだと思います。「ここまできて、頑張らなきゃどうするの?」と。それが一番大きいのかな。

 
――落ち込んだときのリカバリー方法はありますか?

知英:もし落ち込んでも、私は感情をそのまま受け止めます。無理して忘れようとか、解消しようとかはしないです。マネージャーさんに「今日機嫌悪いよね?」って聞かれて「うん!」って答えますから。

でも、その方がスッキリしますよ。今日は思い切りこの気持ちを受け止めて、次の日は忘れようってなるので。最近の私の口癖は、「明日になれば忘れるさ!」です(笑)。
 

――(笑)。では、最後に旅について伺います。知英さん、旅はお好きですか?

知英:好きですよ。でも旅って、時間的にも体力的にも余裕がないと行けなくないですか? 私、今もしお休み取れたら、家でゆっくり休みたいんです(苦笑)。どうしても、旅って疲れちゃうイメージがあるので……。

 
――なるほど。じゃあもし、お仕事的にも精神的にもゆとりが生まれて、旅に出られる状況になったら、どこに行きたいですか。

知英:ヨーロッパは好きです。5年前は、英語を習得する目的でロンドンに滞在しましたが、そのときから、いつかイタリアやスペインに行ってみたいなと思っていました。あとはアルゼンチン。タンゴとかフラメンコとか、本場の踊りを見てみたいです。ただ、私は旅のプランを立てるのが苦手なので、朝起きて、今日はどこに行こうか決める、自由な旅がいいです。

 
――日本では荷物は最小限にして、旅するように暮らしていたりしないんですか?

知英:全然(笑)。日本の私の住まいには、荷物が溢れています。でもだからこそ、韓国と日本を行き来するときは身軽で済みます。ただ、実家に帰るたびに生まれ育った街の景色が変わっていてビックリしますけど(笑)。

PROFILE

知英 Jiyoung
1994年生まれ。韓国出身。KARAの元メンバー。2014年より、日本を中心にアジア各国で女優活動をスタートさせる。同年、ドラマ「地獄先生ぬ〜べ〜」でヒロインゆきめ役に抜擢され、「民王」(2015年)「ヒガンバナ〜警視庁捜査七課〜」(2016年)など話題作に多数出演。2016年には、アーティスト「JY」としてデビュー。ドラマ「オーファン・ブラック〜七つの遺伝子〜」(2017年)では連続ドラマ初主演を務め、一人7役を演じ切る。劇場長編映画初主演作『レオン』、主演映画『私の人生なのに』に続き、本作が最新主演作となる。

INFORMATION

日米合作映画『殺る女』

幼い頃、目の前で家族の命を奪われた愛子(知英)は、両親を殺害した腕にサソリのタトゥーがある男を探すために殺し屋になった。孤児院育ちの看護婦・加賀由乃(武田梨奈)と、その兄で元暴力団の加賀俊介(駿河太郎)は、ある日仲間にはめられ、とんでもない事件へと堕ちてゆく。その事件をきっかけに、愛子は幼き日の自分によく似た加賀の娘・カナと出会い、運命を狂わせてゆく。

監督・脚本は、アメリカ・ロサンゼルスにて開催されている「Japan Film Festival LA 2015」で『夢二 愛のとばしり』が最優秀作品賞を受賞し、世界的評価を得ている宮野ケイジ。富山国際ファンタスティック映画祭2018正式出品作品。

監督・脚本:宮野ケイジ
出演:知英、武田梨奈、駿河太郎、篠原篤
配給:プレシディオ
©2018「殺る女」制作委員会
 
2018年 10月27日(土)、シネ・リーブル池袋ほか全国ロードショー。
http://yaruonna.com/

 
Photo:Aya Kishimoto Styling:Mayu Suzuki Hair&Make-up:Megumi Inteview&Text:Yoko Kikuchi

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