美容業界でも数少ない男性編集・美容家の3人が集まって最新コスメをあれこれ語るシリーズ。今回は春に発売されるスキンケア商品の発表会をレポート。「ザ・ギンザ」「セルジュ・ルタンス」の路面店オープンを始め、オバジ、アスタリフトなど美容のプロたちの間で評判の高いアイテムが勢揃い。この春のスキンケアは要注目です。

俺たちのコスメとは……
化粧品を科学で斬るビューティサイエンティスト・岡部美代治さん、男性美容研究家の藤村岳さんと、美容業界ン十年のFRaUプロデューサーの関龍彦がスキンケアからボディ、フレグランス、メイクアイテムまで、経験と知識をもとに、これからの美容業界までを占う発表会レポートです。

ビタミンC濃度が25%!
オバジの美容液に期待大

オバジC25セラム ネオ 12mL ¥10000(2019年 3月10日発売)/ロート製薬

岡部:今回は成分にこだわりを持つ2メーカーが印象に残りましたね。まずは高濃度ビタミンC美容液でおなじみのロート製薬の「Obagi(オバジ)」です。最初にビタミンCそのままを10%配合の美容液を出した時は、「本当に可能なのか?」と驚きました。それが20%、そして限界を超えるというので今回25%の配合と聞き、とても強い関心をもって発表会へ行きました。

:5%、10%、20%ときたら、やっぱり期待しちゃいますよね?

藤村:ついに出ました、25%! そして「極限」美容液と名乗っているところに揺るぎのない自信が見えますね。

ヒトや猿や魚は?
ビタミンCを作ることができるのは?

:発表会ではクイズが出されたけど、犬、猫、鳥などと違い、ヒトや猿、魚は体内でビタミンCが生成できないんだよね。でもってビタミンCって、ドリンクなどの内服では内臓には届きやすいが、肌に届きにくい性質を持っている。

藤村:発表会は伺えなくて後日キャラバンをしてもらったのですが、そんな趣向が凝らされていたのですね。そういう工夫は頭にしっかり残るはず。

岡部:クイズはおもしろかったですね。内服は体全体にくまなく届くので、健康には良いですよ。ですが、皮膚だけのことを考えると、皮膚からダイレクトに届ける方が効果的なのは確かです。

:だから、肌に塗布するのは効果的なわけだね。しかもこれだけ濃度が高いから、毛穴、シミ、ハリ、キメ、シワという大人の肌の5大悩みすべてに対応できるわけ。
ビタミンC濃度を25%にまで高めた「ObagiC25セラムNEO」の期待は高まっちゃうよね。はたから見ると「20%ができたのだから25%も簡単そう」って思っちゃうけど、そんなことはなく(笑)。15年もの年数を要したほど、開発は困難を極めたらしいね。

岡部:ビタミンCはアスコルビン酸という結晶性の有機酸ですので、溶けるかどうかと刺激性でも気になっていました。大きな皮膚クレームの話を聞きませんので、安全性は大丈夫なのでしょう。

:まず、粉末状のビタミンCは液体に溶かすのが大変。温度を上げて溶かしたとしても、冷めたらまた結晶化してしまう。「VC相互溶解技術」なるロートの特許技術によって、液体内でビタミンCを安定状態にすることに成功したのだと。

岡部:着眼点が「溶かす」ことではなく、「結晶化させない」ことだったことが製薬メーカーの底力だと感心しました。
 

岡部:発表会での25%を溶かす実験も解りやすかったですね。ビタミンCと水だけでは溶かそうと思っても溶けないことを見せた後、さらに結晶化も抑制した技術説明をすることで、安定に溶かすことを実現させた流れはうまいなぁ〜と思いました。

:会場で顔に塗ってみたんだけど、僕の場合、少しだけ刺激を感じたなぁ。でも、浸透は速く、肌に活力が出るような感触があったなぁ〜。期待できそう!

藤村:案外、トロリとして濃密な質感ですよね。あと、ゴールドに輝くボトルは小さいけれど、存在感があります。

「シミの骨」クレンズってナニ?
アスタリフトの新美白がおもしろい

岡部:もうひとつ取り上げたいのが「ASTALIFT(アスタリフト)」の新・美白美容液とUVケア商品。アスタキサンチンを配合して2007年にデビューして以来、“赤い化粧品” は目立ち続けていました。

:そうそう! 松田聖子さんのCMだったねー。

藤村:コスメ界で異業種参入の大成功例として有名ですよね。

岡部:美白理論においてメラノソームの構造への着目点が独自的でおもしろいし、私はこの考え方に賛成していたので、発表会が楽しみでした。今回、「シミの骨」の構造をつくる原料供給に関わる酵素に着目したのがすごいですね。

:シミの骨、って記憶に残るおもしろいワードだなぁ〜。

岡部:よく「メラニンの排出」というけど、顆粒のままでは排出されず、分解されなければダメなんです。分解しにくくしているのが顆粒の中でハリ構造をつくっている「たんぱく質」。それをわかりやすく「シミの骨」って表現したのがおもしろい発想ですね。

:使ってみた感想は?

岡部:感触もよくなっていて、使いやすいのも良いですね。そういえば2010年に「ジェリー アクアリスタ」という形状記憶ジェリーを発売して以来、商品の感触への進化も着目しています。
 

:もうひとつ、同日発売で化粧下地も大きく進化するよね。

岡部:はい。「D-UVクリア ホワイトソリューション」も進化がわかりやすかったですね。Deep紫外線はロングUVの中でももっとも肌の奥深くまで侵入する紫外線のことですが、なぜ高SPFなのに日やけするのかを疑問視し、UV皮膜の破れやすさに着目したのがおもしろいですね。しかも、皮膚を大地に見立てて「地割れ」と表現したところもインパクトありました。

:さらにわかりやすく言うと、笑ったり、話したりする表情の変化によってUVの膜が割れ、そこから紫外線が肌内に侵入してしまう、ってことだよね。

岡部:はい。今回の地割れしないポイントは、伸縮性の高い皮膜をつくる素材を採用したことでしたね。それを各テーブルで実際に確かめる演出も印象に残りました。皮膚の質感のシートに皮膜を作り、それを引っ張って地割れの有無を確認させるとは、考えましたね。

「銀座」の名に恥じない
ラグジュアリーを極めたサロンがオープン

:銀座5丁目に「THE GINZA COSMETICS GINZA」がオープンしたね。

藤村:昨年から仕事をご一緒にしていたので、ウワサは聞いていました。が、まさかこれほど素敵な路面店だとは思いませんでした。
 

:ここまで贅沢な空間使いにも驚き。僕らで館内案内をしながら紹介しますね。まず1、2階が「ザ・ギンザ」。1階のショップには全ライン揃っていて、買い物が楽しくなる導線になっているんだよね。ここのスキンケアアイテムって、シンプルだけど上品な使い心地で、実は以前から結構好きだったんだ。2階は招待制のフロア。エステスペースなどが揃っています。

藤村:18万円の美容液「ザ・ギンザ エッセンスエンパワリング」とか、10万円のクリーム「ザ・ギンザ エンパワライザー」など。とにかく、「ギンザ」を名乗るのにふさわしいラグジュアリーさ。でも、価格でひれ伏させるような野暮ったさがないのは、コンセプトが確立しているから。それが店舗作りにも結集しています。

岡部:二人の説明を聞くと、ぜひ行って見なければなりませんね。時間がある時に寄ってみます。

香り上級者が愛する
セルジュ・ルタンスの旗艦店

:そして地下1階は、日本初となる「SERGE LUTENS(セルジュ・ルタンス)」の旗艦店「SERGE LUTENS GINZA」です! 昔、パリのショップに入ったことがあるけど、まさにあの “上質淫靡” な雰囲気を再現した空間になってます! コスメやフレグランスのディスプレイにも惚れ惚れ♡

藤村:白・シルバーの「ザ・ギンザ」の世界と、「セルジュ・ルタンス」の黒の世界が完璧に融合していて、素晴らしかった!

:地下2階はイベントが開催できる「THE GINZA SPACE」。オープンを記念してフラワーアート・ユニット「PLANTICA」とアーティスト三浦大地とのコラボレーション作品が展示されてました。
 

グラットシエル オードパルファム 全11種 100mL ¥32000/ザ・ギンザ

藤村:新しいコレクションの「グラットシエル」が見所かと。11種の香調がありまして、ファセット(切子)が施された黒のガラスボトルが特長です。また、発色の美しいリップの「ネセセールドゥボーテ ファーアレーブル」も必ずチェックして欲しいですね。

:ルックスもエレガント。9番=夜間外出禁止、28番=ベージュの賛美など、色名も洒落ています!  このサロン、五感が刺激される銀座ビューティの新たな聖地になっていくのかもしれないね。

岡部:ますます楽しみになりました。近いうちに行ってきます。

オバジ
https://www.obagi.co.jp/
 
アスタリフト
https://shop-healthcare.fujifilm.jp/special/astalift/
 
ザ・ギンザ
http://www.theginza.co.jp/ 
 
セルジュ・ルタンス
https://www.sergelutens.jp/

PROFILE

岡部美代治 Miyoji Okabe
ビューティサイエンティスト。(株)コーセーの研究所を経て(株)アルビオンにて商品開発、マーケティングなどを担当。2008年独立し、現在は美容コンサルタントとして活動。商品開発、美容教育アドバイスなどを行うほか、講演・セミナーの依頼や雑誌取材なども多い。
 
藤村岳 Gaku Fujimura
男性美容研究家。編集者を経て独立。シェービングを中心に独自の理論を打ち立て、男性美容のパイオニアとして活動。テレビ出演のほか、講演、コスメ開発やマーケティングなども行う。スパ・エステについても造詣が深い。著書に『一流の男はなぜ爪を手入れするのか?』がある。サイトは、男性美容研究所。男性美容研究所:http://danbiken.net/
 
関龍彦 Tatsuhiko Seki
FRaU プロデューサー。講談社入社後、『ViVi』『FRaU』の編集者を経て『VOCE』創刊のため新雑誌準備室へ。2004年より6年間、同誌編集長。2010年より4年間、『FRaU』編集長。2018年より現職。ビューティ界の新サービス「BE-BANK」エグゼクティブ・プロデューサーも務める。

 
Illustration:YUGO. Composition:Mayumi Hasegawa

 
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