美容業界でも数少ない男性編集・美容家の3人が集まって最新コスメをあれこれ語るシリーズ。今回は春に発売されるスキンケア商品の発表会をレポート。2018年最後の「俺コス」レポートは、「ランコム」「THREE」の春の新色のアップデートと「コスメデコルテ」のロングセラー、フェイスパウダーのリニューアルまで、一足お先にご紹介!
俺たちのコスメとは……
化粧品を科学で斬るビューティサイエンティスト・岡部美代治さん、男性美容研究家の藤村岳さんと、美容業界ン十年のFRaUプロデューサーの関龍彦がスキンケアからボディ、フレグランス、メイクアイテムまで、経験と知識をもとに、これからの美容業界までを占う発表会レポートです。
「絶対売れるでしょ」のオンパレード
ランコムの春限定コスメ
関:年末の発表会は、春新色ラッシュだね。前評判のよかった「LANCÔME(ランコム)」ですが、岡部さん、いかがでした?
ランコム ラプソリュ トーン アップ バーム 限定3色 ¥4000(2019年 1月1日発売)/ランコム
ランコム ブラッシュ イン キャピタルズ ¥6500(2019年 2月15日発売)/ランコム
岡部:今回の発表会、会場に入るなりピンク色のシャワーを浴びるような展示&テスティングコーナーが印象的でしたね。それもそのはず、リップスティックとリップケアが融合したマーブル模様の「ラプソリュ トーンアップバーム」が個性的で、実用性も高かったですね。
関:カラーでは、スプリングコレクションが良かった! 特にアルファベットをかたどったチークがおもしろい! これは気分もアガりそうだね。
岡部:このチーク、おもしろかったです。チークって見た目で勝負できるんですね。多色プレスも含め、これからもアート的で素敵なものがどんどん登場してきそうですね。
藤村:ランコムは設えからアイテムに至るまで、ワクワクする雰囲気でいっぱいでした。おっしゃる通り、リップとチークの出来が秀逸。特にリップはマーブルがひとつひとつ異なるので、世界でたったひとつ、自分だけのニュアンスが出せます。
クッションファンデとコンシーラーが
一緒になった新ファンデに注目
ランコム ブラン エクスペール クッションコンパクト アーバン デュオ パレットSPF36・PA+++ 全2色 ¥7500(2019年 2月15日限定発売)/ランコム
岡部:さらに、クッションコンパクトもみずみずしさを増したベースでリニューアルしていましたね。ランコムはクッションファンデの発売も早かったですし、常に新しさへの挑戦をしている姿勢が心強いです。今回のバーム状コンシーラーと一緒に収めてしまうデュオ パレットは、便利なアイテムですね。容器とベース開発が一緒になった2in1は、ひょっとしたら今後のトレンドになるかも知れませんね。
藤村:あれはスポンジも2つのパーツでつくられているところがミソ。使い勝手もきちんと考えられています。
関:ベースメイクアイテムの進化は目を見張る、ってどこかでも言ったように感じるけど、来年の春のベースは本当にすごいね。2in1のクッション、気になるなー。
岡部:もうひとつ。春のスキンケアとして美白の前にやはりUVケアですが、「エクスペール」が更にパワーアップしましたね。エーデルワイスエキスによる抗酸化力と世界各国の肌色研究から日本人特有の黄ぐすみを解消する「ピンクトーンアップ」の仕上がり効果で、これを「ピンクの美人UV」と訴求しているのもランコムの自信が表れています。
関:UV エクスペールの実力・人気は、長年安定してますよね。日本人の肌のこと、しっかり研究しているからこそ、ですね!
藤村:トーンアップやBBの色づくタイプも優秀ですが、濡れツヤ肌になれるクリアもいいんです。こっちは男子使いも◎。
コスメデコルテの粉技術に注目!
ルーセントタイプも仲間入り
岡部:1998年に誕生した「DECORTÉ(コスメデコルテ)」のフェイスパウダーがまた進化して、しかも色揃えも充実して登場しますね。会場には歴代のフェイスパウダーが展示されていて、天井からはオーガニックシルクパウダーをイメージしたボンボンがたくさん吊り下げられていました。
藤村:確かに! あのボンボンは印象に残りました。
関:フェイスパウダー作りの第一人者として、ブランドのプライドを感じましたね。 コスメデコルテ フェイスパウダー 全6色 ¥5000 (2019年 1月16日発売)/コスメデコルテ
岡部:専用のフェイスパフでつけると確かにシルクタッチで仕上がり、上質な潤い肌に見えました。今回、新しく登場する「00」番というトランスルーセントは、透明感のある潤い肌に仕上げる新色で、売れそうな感じでした。
関:例えばさ、CCクリームの上から00番をつけて終わり! ってこともできるじゃない?
岡部:00番のクリアは20代の女性を中心に口コミで広がりそうですね。
関:このカラー以外にもアイボリー、ピンク、テラコッタ、ライト ベージュ、ベージュと全6色もあるので、なりたいニュアンスが作りやすい。
藤村:最近はいろいろな色彩をブラシで混ぜ合わせて使うタイプも人気がありますが、色みが最初から決まっているとなりたい顔にビシッと決まりますよね。偶然性の美より、計算された美を作りやすい。
岡部:保湿効果をもたらしているのがアミノ酸をコーティングしたオーガニックシルクパウダーだというのも納得いきましたね。
THREEの桜ピンクの色出しは
史上最高の予感!
岡部:春の花といえば桜ですが、パリのシンガー、ALA.NIの歌「Cherry Blossom」からインスパイアされたメイクの世界観でしたね。コンセプト「CHERRY PETAL BREEZE(桜色の風に吹かれて、表情から響く愛の旋律。)」を表現する限定キットを始め、リップ、ネイル全てが桜色のオンパレードで、春でしたね。会場ではALA.NIさんのトークセッションもありました。 THREE シーズンコレクションキット2019 ¥7800、デアリングリィデミュアリップスティック 全3色 各¥3900、ネイルポリッシュ 全4色 各¥1800 (すべて2019年 3月3日限定発売)/THREE
関:春新色として各社から毎年のように「桜色」が出ますが、THREEのこの色出しは、絶妙なところを突いているなぁ〜という印象。このくすみ感が、大人にもしっくり馴染む!
藤村:THREEの桜シリーズ史上で、最もいい色出しだった気がします。春だとつい浮かれてきれいや可愛いって色に走りがちだけど、大人のしっとりとした桜のイメージが出ていたと思います。
関:この桜キット、限定発売なんだよね。僕らが話しているこの時点で売り切れ必須じゃない(笑)? 是非、手に入れて欲しいよね。
グロウとマットの相反する質感が
ひとつになったパウダーファンデ
THREE プリスティーンコンプレクションパウダーファンデーション 全8色 ¥4500 、THREE プリスティーンコンプレクションパウダーファンデーション ケース ¥1800(ともに2019年 3月13日発売)/THREE
岡部:その他、特徴の異なる2タイプのベースがプレスされた、パウダーファンデーションも3月13日に発売されますね。スレンダーマットは膜薄ながらキメを整え、スレンダーグローはハイライト的な仕上がりで立体感を演出。このファンデーションを活かす多面ブラシも凝っていましたね。
藤村:その日の気分によって2色の配分を変え、仕上がりを変えられるという提案がいい。濃色のスレンダーマットを全顔に塗布して、淡色のスレンダーグローを鼻筋や頬骨に乗せれば立体的仕上がるとか、両方をブラシで混ぜてから全顔に施し、その後スレンダーグローを立体的に見せたい部分に重ねると、エアリーに仕上がるとかできます。
岡部:相反する質感がひとつに収まっている事自体、奇跡でしょ? 先ほどのランコムといい、ベースメイクアイテムは進化しているよね。
関:12月ギリギリまで発表会があったけど、先日のファンデーションの発表会も面白かったね。このレポートは次回にでも。
岡部:そうですね。年明けになるかな?
関:ですね(笑)。最後にご挨拶をば。今年は新企画(珍企画?)「俺たちのコスメ」を応援いただき、本当にありがとうございました。新年は1月11日更新からスタートします(年末発表会レポートの続編です)。2019年も「俺コス」をどうぞよろしくお願いします!!
ランコム
https://www.lancome.jp/
コスメデコルテ
https://www.cosmedecorte.com/
THREE
https://www.threecosmetics.com/
PROFILE
岡部美代治 Miyoji Okabe
ビューティサイエンティスト。(株)コーセーの研究所を経て(株)アルビオンにて商品開発、マーケティングなどを担当。2008年独立し、現在は美容コンサルタントとして活動。商品開発、美容教育アドバイスなどを行うほか、講演・セミナーの依頼や雑誌取材なども多い。
藤村岳 Gaku Fujimura
男性美容研究家。編集者を経て独立。シェービングを中心に独自の理論を打ち立て、男性美容のパイオニアとして活動。テレビ出演のほか、講演、コスメ開発やマーケティングなども行う。スパ・エステについても造詣が深い。著書に『一流の男はなぜ爪を手入れするのか?』がある。サイトは、男性美容研究所。男性美容研究所:http://danbiken.net/
関龍彦 Tatsuhiko Seki
FRaU プロデューサー。講談社入社後、『ViVi』『FRaU』の編集者を経て『VOCE』創刊のため新雑誌準備室へ。2004年より6年間、同誌編集長。2010年より4年間、『FRaU』編集長。2018年より現職。ビューティ界の新サービス「BE-BANK」エグゼクティブ・プロデューサーも務める。
Illustration:YUGO. Composition:Mayumi Hasegawa