格言4
日々において一番幸せな瞬間。
お風呂に体ごと浸かるのは、
魂の癒やしである

小川のせせらぎや、湖面で揺れる光。透明な海の浅瀬で、寄せては返す静かな波。自然界における水は、人を癒やす不思議な力を持っている。なぜだかわかるだろうか。

一つに、そこには “f分の1ゆらぎ” という、 自然が作る不確実なリズムそのものに、人を癒やす力が備わっているから。もう一つ、人は生まれる前に、母親の胎内で水に包まれていたことで、たゆたう水の優しさが母親に守られているような安らぎをもたらすからなのだ。

日常生活の中で一番ほっとするのは、多分お風呂のお湯に体ごと浸かった瞬間ではないかと思う。それも、自分の体を包むお湯の穏やかな動きと、肌を優しく撫でる柔らかいお湯の肌触り、そしてチャポチャポという音……その全てが、“f分の1ゆらぎ” をもたらし、母親の胎内の記憶を蘇らせる。だからこそ、その時間はささやかだけれど、私たちに与えられた至福の時間なのである。

あなたは毎日の入浴に、そういう意味での幸せを感じとっているだろうか?  人間の祖先は悠久の昔、海の中に住んでいた。毎日の入浴にそこまでのイメージを持つことで、人は本当の意味で癒やされる。魂までが癒やされる。信じて欲しい。魂までが潤う、お湯の力。

PROFILE

齋藤薫 Kaoru Saito
美容ジャーナリスト。女性誌において多数のエッセイ連載を持つほか、美容記事の企画、化粧品の開発・アドバイザーなど幅広く活躍。

 
●情報は、FRaU2018年11月号発売時点のものです。
Photograph:Kota Shoji

 
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