「縄文人にならって開放的で生きがいのある社会に」SDGs未来“希望”図 #3

2030 年には、平和や差別、エネルギーなど、さまざまな問題の何がどんなふうに叶えられているだろうか。“こうなって欲しい未来” を『縄文ZINE』主宰の望月昭秀さんに話してもらいました。

縄文の視点に戻る儀式が、
閉塞感を断ち切ってくれる。

縄文時代は、いまでは当たり前とされているいくつかの概念が存在しませんでした。最も影響力の大きなものは、お金ではないでしょうか。加えて、文字や今日的な意味での仕事の概念もありませんでした。それでも社会は成り立っていたし、争いごとも少なく概ね平和だった時間が、約1万年ほど保たれていたのです。

なぜだろうと考えてみると、いまではないがしろにされがちな口約束ひとつとっても、縄文時代には何にもまして優先して守らなければならない重要事項であったはずだし、お金が介在しない物々交換の世界で著しく価値の低い物を出して自分の利益を確保しようとすれば、狭いコミュニティで生きていけなくなるのは自明のこと。約束にしろ物質にしろ、人と人のやりとりが発生すると、それはすなわち信用問題に関わる人間性の交換という本質的なところまで行き着くのではないでしょうか。

以前、実際に縄文人にならって物々交換のイベントを行いました。私は真鍮の水入れというそこそこの物を用意したというのに、最終的にこちらの手元に残ったのは枯れ葉のみという事態になり、まさにタヌキに化かされた気分になりました。トークのネタにできたのでよかったのですが、その時は、さすがにお客さんに呪詛の言葉を投げかけたくなるくらいのちょっとした人間不信におちいりました。

『縄文ZINE』の第1号を出すとき、周りのみんなは半笑いでした。実際、ターゲット層がどこにもいない、暗闇に向けてキャッチボールを始めたようなもので、ただボールが吸い込まれていくだけだったらどうしようと恐ろしい気持ちでしたが、リアクションも上々で、縄文時代がテーマなんてウケないかもという固定観念を捨てて本当によかったと思っています。

お金や仕事という概念がなかった時代に資本となるのは自分自身だけだったけど、いまは最新のテクノロジーしかり、人間が作り出した利便性の高い多くのものに逆に支配されてかえって不自由なのかも。社会の中で閉塞感を感じたら、当たり前とされている概念をとりはずして、縄文の視点に立ち戻れば、なにかしらの突破口がみつかるかもしれません。

ほかにもイチロー選手のルーティーンよろしく、みんながそれぞれにオリジナルの儀式を持つというのはどうでしょうか。成人式などの形骸化した既存のイベントに頼るのではなく、もっとパーソナルな心の拠り所をつくってみるのです。くだらなくていい。僕だと新しい『縄文ZINE』が出来たら、祝いの儀式として河原で狼煙を上げてみるとか。

PROFILE

望月昭秀 Akihide Mochiduki
縄文ZINE主宰。仕事の傍ら2015年に刊行を始めたフリーペーパー『縄文ZINE』は、8号が3万部配布とプチブームを起こす。近著に『縄文力で生き残れ:縄文意識高い系ビジネスパーソンの華麗なる狩猟採集的仕事術100』(縄文ZINE Books)がある。

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Illustration:Katsuki Tanaka Text:Toyofumi Makino Text&edit:Asuka Ochi

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