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暴力団離脱者はいま、就職先でこんな「イジメ」に遭っている

暴力団構成員は毎年減少しているが…

暴力団を離脱する人々

前回は、「元暴力団員に聞いてわかった『辞めてから5年間の厳しすぎる現実』」という記事を書いた。今回は少し捕捉したい。

現在、暴力団は、かつて経験したことのない厳しい北風にさらされている。暴力団であることのメリットは逓減し離脱者が増加。ここ数年は、警察や暴力追放推進運動センターを介して離脱する者の数は、年間に平均500~600人となっている。

暴力団組員の高齢化に伴う自然減もあると思われるが、警察庁が発表した全国の指定暴力団構成員等(構成員及び準構成員を含む)数は、平成29年末現在34,500人で、前年と比べ4,600人減少した。

うち、暴力団構成員の数は16,800人で、前年に比べ1,300人減少し、準構成員等の数は17,700人で、前年に比べ3,200人減少している。

この数字は、毎年、「過去最少を更新」という常套句が入るようになり、勢力は減少の一途であるから、国を挙げて暴排という「北風の政策」は奏功しているといえよう。

しかし、一方で、暴力団を辞めたものの、就労し、社会復帰して人並みに暮らしているのかというと、数字を見る限りそうではないようである。

まず、社会復帰という点をみると、2010年~2017年度に警察の支援で離脱した4170人のうち、把握されている就労者は2.6%ほどであるから、残りの約97%はどうなったのかと疑問が生じる。

つぎに、元暴の検挙率をみてみよう。2015年に離脱した元組員1265人のうち、その後の2年間に事件を起こし検挙されたのは325人。1000人当たり1年間に128.5人となる。これは、全刑法犯の検挙率2.3人と比べると50倍以上になるとして、元暴のアウトロー化が危惧される(毎日新聞2018年12月23日 朝刊)。

 

暴力団辞めても続く社会的排除

離脱者の社会復帰においては、企業社会が孕む問題が指摘される。

2017年11月から12月にかけて、北九州市暴力追放推進会議が、企業500社に対してアンケート調査を実施したところ、約60%の企業から回答がなされなかった。

さらに、回答した企業212社の内、約8割(167社)は、暴力団離脱者を雇用したくないと答えている。このことからも、離脱者雇用に消極的な企業の姿が見て取れる。

加えて、筆者がよく耳にするのが、「職場内のイジメ」である。元暴の人は、文身(彫り物)がある、小指などが欠損していることなど、身体的特徴を有することが多い。そうすると、仕事に就けてもイジメにあうことがあるようだ。

拙著『ヤクザと介護――暴力団離脱者たちの研究』(角川新書)において紹介している介護士の小山氏(仮名)も、介護実務者職業訓練中に同期の訓練生から恫喝されたり、職場で眠剤が紛失した際に、あからさまな疑いの目を向けられる等のイジメにあっている。

あるいは、2016年12月27日付の西日本新聞に「元組員更生に苦しい現実・職場になじめず『苦しかった』」という見出しの記事が掲載された。

この離脱者は、知人の紹介で電気工事会社に就職した。しかし、職場の備品が紛失したことで同僚から疑いの目を向けられ、「犯罪者に仕事ができるのか」「このヨゴレが」などの面罵を3年間我慢したものの、最終的には上司を殴って退社している。

昨年、筆者が上梓した『ヤクザの幹部やめて、うどん店はじめました』(新潮社)の主人公のところにも、職場で嫌がらせされるという相談が寄せられるそうだ。

実際、筆者が耳にするだけでも、元暴へのイジメや白い目でみるという社会の不寛容さは、根深いものがある。