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家庭料理から見た「平成とは何だったのか」〜4つの特徴から考える

複雑と単純の二極化が進んだ?

昭和は高度化、平成は簡略化

昭和は家庭料理が「高度化」する時代だったとすれば、平成は逆に「簡略化」へ向かった時代と言える。

なぜ、昭和を高度化と位置づけるかというと、台所環境の近代化や食品が豊かになったこと、レシピ情報が増えたことなどを背景に、手間がかかる料理が広まったからである。

それは、コロッケやハンバーグ、オムライス、餃子などの洋食・中華のことで、私は「昭和飯」と呼んでいる。

昭和に家庭料理となった昭和飯の特徴は、高カロリーで旨味が強く、作るのに手間がかかること。もともと洋食店のメニューだったり、中国の行事食だったからだ。

そういう「ごちそう」が家庭の日常食になったのは、家事に時間をかける専業主婦が増えたことが大きい。

女性がほかに仕事を持っていた時代、手の込んだ料理は、年中行事など特別なときにしかつくられなかった。

しかし、家電の普及などで家事がラクになり、時間の余裕があった主婦たちは、積極的に料理に手間をかけるようになった。それは外食が日常的ではなく、珍しいもの、目新しいものを食べようと思えば、作るのが一番早かったからでもある。

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しかし平成になると、再び働く女性が多数派になった。1997年以降、共働きの既婚女性の割合は専業主婦より多くなり、その割合は平成を通じて増え続ける。

晩婚化と少子化も進み、シングルで働く女性や男性も増えた。一方で、シェアハウスのような共同生活を送る人も増え、要介護の高齢者などと暮らす人もいる。当然、求められる家庭料理も変わる。

平成はグルメ化が進み、外食・中食依存率が高くなった時代でもある。食の安全・安心財団の調査によると、1975(昭和50)年以降急速に増えた食の外部化率(外食と中食が家計に占める割合)は、1990(平成2)年以降、4割を超えたままである。

 

1970年代後半、コンビニや持ち帰り弁当店など、中食の選択肢が増え始めた。そして平成になる頃には、デパ地下やスーパーなどでおかずを買う風景は珍しくなくなっていく。

グルメブームが始まり、創刊されたばかりで勢いがあった『Hanako』を片手に食べ歩きを楽しむOLも増えた。平日の昼間、ランチを楽しむ主婦グループが見られるようになったのも、バブル期である。

食を楽しみたいから。忙しいから。料理できないから。理由は異なるが、結果として食をアウトソーシングする人が、既婚・未婚にかかわらず珍しくなくなったのが、平成という時代だった。その影響を、家庭料理も受けている。