書店員さんが選ぶ「私が好きなブルーバックス」第4回は「情動」!

全国の目利き書店員さんのこの1冊
ブルーバックス編集部 プロフィール

「快感という報酬は、動物の行動をドライブ(促進)する」、「だから人々はさまざまな法律や宗教を作りだし、快感を求める行動を制限している」という言葉には、もう、納得しかありません。

自分の「こころ」を考える。

自分の生活を振り返ってみても、頑張ることが快感になってしまうこと、ありませんか? 頑張りすぎて、疲れてしまうこと、大いにありますものね。まさか、それが個人の性格に因るものではなく、「こころ」のしくみとして備わっていたものだなんて、驚きを隠せません。

そして、「こころ」を動かす物質やホルモン。感情という形のないものが、物質をもって説明される不思議さ。

この本を読んで大きく実感したのは、得体のしれない「こころ」が、どんどんとフィジカルなものとしてカタチを持っていくということです。決して触れることができないはずの「こころ」の仕組みが、手に取ることができるもののように感じるのです。

ブックカバー正和堂書店のブックカバー

また、「ヒトはなぜ『何か』をしたくなるのか」ということについても興味深いです。

「報酬系」が発動させる行動への誘惑は、抵抗しがたい力をもっている」と、述べられた後には、報酬予測誤差がSNSへハマるキッカケを与え、報酬の不確実性がギャンブル依存を強めることが語られます。

これに共感する人も多いのではないでしょうか。ふいに訪れたイイネ!に浮足立って、日常を演出してしまうこともあれば、次こそ……と、ガチャガチャを回す手を止められないこともありますものね。

こうして本の内容が、自分の日常生活にフィードバックされていくことで、さらに「こころ」はカタチを持っていく気がしてきます。

しかし、最新脳科学をもってしても、全貌が明らかにならない「こころ」。人は答えを求め続けて、今もなお、「こころ」と向き合い続けています。

でも、実のところ、一番知りたいのは「自分のこころ」だったりしますよね。いつの時代も、私たちは得体のしれない「自分の心を捕まえたい」のです。

ページをめくりながら、脳科学を理解するための本と思うだけではもったいない、という思いが、フツフツと湧き上がります。

本を読むこと、読書することの愉しみは、正しい知識を身に付けるだけではありません。何気なくたどる文字の向こうに、自己の姿を見つけることもあります。そこに自己の悩みを解決したり、人生を豊かにする鍵を見つけたりすることもあります。

立ち止まる一つ一つの文章や言葉に、「自分の心を捕まえる」キッカケがあるのです。

本書に出会って、興味のあるテーマを、ふだん読まない分野の本から考えて見るのも有益なことだと気づきました。たまには、いつもなら寄らないジャンルの書架の前に立ってみるのもいいかもしれませんね。

そして、本屋はそれができる場所だな、と思ったりもします。

正和堂書店

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「こころ」はいかにして生まれるのか

 脳科学 [B2073]

『「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」

著:櫻井 武

人は悲しいから泣くのか? 泣くから悲しいのか? 世界的トップランナーが解き明かす「こころ」の正体!

定価:本体1,000円(税別)

ISBN:978-4-06-513522-8

正和堂書店

正和堂書店・小西悠哉 さん

「最近では、インスタグラムなどを見て、わざわざ遠方から当店に足を運んでいただくことも増え、とても嬉しく思います。この喜びを活力に変えて、今後も試行錯誤しながら、楽しく本とかかわっていきたいですね」

 

書店員さんが選ぶ「私が好きなブルーバックス」

第1回 福岡沙織さん(ジュンク堂書店 池袋本店)『宇宙は「もつれ」でできている』
第2回 田中愛美さん(紀伊國屋書店 札幌本店)『お茶の科学』
第3回 犬丸美由紀さん(広島T-SITE 広島蔦屋書店)『時間とはなんだろう』

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